フォークリフトの荷崩れの原因と対策|積み方・走行・旋回・路面の4分類

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フォークリフトの荷崩れの原因を積み方・走行・旋回・路面の4つに分けると、対策は装備と積載の基準、崩れた荷を直す前の停止措置、荷役作業の安全対策ガイドラインの遵守に分かれるため、現場で迷いやすい5つの場面と答えを以下の表にまとめました。

現場で迷いやすい場面答え
荷崩れが続いているが、積み方と運転のどちらに原因があるのか分からない原因は積み方・走行・旋回・路面の4つに分けて確かめる。4つの原因と対策へ
バックレストのない古い車両を、そのまま使い続けてよいのか迷っているバックレストのないフォークリフトは、マストの後方に荷が落ちて危険を及ぼすおそれがない場合を除き使用できない。バックレストと積載の基準へ
崩れかけた荷を、運転席から手を伸ばして直してしまいたい運転席から身を乗り出して直さない。フォークを最低降下位置に下げ、原動機を止め、ブレーキをかけてから降りて直す。修復中の事故と対策へ
荷役作業の安全対策ガイドラインが、荷崩れについて何を求めているのか知りたい荷崩れ防止措置、急停止・急旋回の禁止、制限速度の遵守などを労働者に守らせるよう求めている。ガイドラインの防止措置へ
荷崩れ対策を続けても、効果が数字に表れるのか不安だ全国の災害統計は荷崩れに限らないため、自社の荷崩れの件数を対策の前後で比べる。現場の対策と効果の確かめ方へ

本記事を読むと、荷崩れの原因を4つに切り分け、法令とガイドラインに沿った対策を自社の作業計画へ書き込めるようになります。原因を切り分けずに対策を決めると、積み方の問題に速度制限だけで応じるような対策のずれが起き、同じ荷崩れが再発しやすくなると考えられます。

まずは、フォークリフトの荷崩れが起きる4つの原因から確認していきましょう。

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フォークリフトの荷崩れの原因は?積み方・走行・旋回・路面の4つと対策

フォークリフトの荷崩れの原因は、積み方・走行・旋回・路面の4つに分けると対策を選びやすくなります。平成25年に発生した陸上貨物運送事業の荷役作業時の死亡災害では、荷崩れのパターンが19.3%を占めました(※1)。

本項目では、次の4つの原因を順に扱います。

  • 積み方が原因のフォークリフトの荷崩れと対策
  • 走行・急停止が原因のフォークリフトの荷崩れと対策
  • 旋回が原因のフォークリフトの荷崩れと対策
  • 路面が原因のフォークリフトの荷崩れと対策

原因ごとに対策を確認すると、自社の現場でどの原因が当てはまるかを判断しやすくなります。

(※1)出典:厚生労働省・労働安全衛生総合研究所「陸上貨物運送事業における重大労働災害を防ぐためには」

積み方が原因のフォークリフトの荷崩れと対策

フォークリフトの荷崩れの原因が積み方にある場合は、偏荷重をなくす対策を先に行うと、荷崩れの再発防止に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、積み付けの段階で荷崩れを防げる状態を目指しましょう。

積み方に起因する荷崩れの要因と、事業者が講じる措置は次のとおりです。

要因起きることと対策の方針根拠・具体例
偏荷重荷の重心が前後左右にずれ、走行中に荷が傾く。偏荷重が生じないように積む労働安全衛生規則 第151条の10第1号
固定の不足荷が動いて崩れる。ロープ又はシートを掛ける等の措置を講じる労働安全衛生規則 第151条の10第2号
不安定な荷姿細長いロールを間隔を狭く積むと、運搬中に崩れやすい職場のあんぜんサイトの災害事例No.1036(※1)
能力の超過車両が不安定になり、荷が崩れやすくなる。許容荷重その他の能力を超えて使用しない労働安全衛生規則 第151条の20

災害事例No.1036の対策欄は、荷の高さ・大きさ・形状から荷崩れのおそれがある場合に、収縮性プラスチックフイルムでパレットの荷を覆う措置等を挙げています。荷姿ごとにフィルムとロープのどちらで固定するかを作業計画で決めておくと、作業者による判断の差が小さくなると考えられます。

林業・木材製造業労働災害防止協会の災害事例には、3段にはい積みした合板の最上段にフォークを差し込んだところ荷が崩れ、荷の反対側で作業していた作業者が下敷きとなって死亡した事例があります(※2)。荷の向こう側は運転者から見えにくいため、荷を動かす前に反対側の人の有無を確かめます。

(※1)出典:職場のあんぜんサイト「フォークリフトの積荷の荷崩れを修復中、マストとヘッドガードとの間にはさまれる」
(※2)出典:林業・木材製造業労働災害防止協会「はい積みした荷がフォークリフトのフォークで崩れ、荷の反対側にいた作業者が下敷きとなった」

走行・急停止が原因のフォークリフトの荷崩れと対策

フォークリフトの荷崩れの原因が走行にある場合は、急停止をなくし制限速度を守る対策を行うと、荷にかかる揺れを抑えることに繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、荷を載せたまま安定して走行できる状態を目指しましょう。

走行時に荷崩れを防ぐために押さえる点は次のとおりです。

  • 急発進・急停止をしない。止まる位置の手前から減速する
  • 事業者が定めた制限速度を守る。労働安全衛生規則 第151条の5は、最高速度が毎時10キロメートル以下のものを除き、作業場所の地形や地盤の状態等に応じた適正な制限速度を定めるよう事業者に求めている
  • フォークに荷を載せて前進するときは、荷の死角になる前方を確認する

陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドラインは、急停止、急旋回を行わないことを、フォークリフトを使う労働者に守らせる事項の1つに挙げています。第151条の5は制限速度の数値を示していないため、事業者が通路幅や路面に合わせて数値を決め、見やすい場所に掲示します。

旋回が原因のフォークリフトの荷崩れと対策

フォークリフトの荷崩れの原因が旋回にある場合は、曲がる前に減速を終える対策を行うと、荷が外側へ振られにくくなり荷崩れの防止に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、曲がり角や交差部でも荷を崩さずに通過できる状態を目指しましょう。

旋回時の荷崩れを防ぐための確認事項は次のとおりです。

  • 急旋回をしない。ガイドラインが労働者に守らせる事項に挙げている
  • 曲がり角の手前で減速を終えてからハンドルを切る
  • 旋回する範囲に人がいないことを確認する。荷が崩れたときに周囲の作業者が下敷きになるおそれがある

労働安全衛生規則 第151条の7は、運転中のフォークリフト等やその荷に接触して危険が生じるおそれのある箇所への立入りを禁止する旨の表示を求め、誘導者に誘導させる場合を例外としています。誘導者を置く場合の役割分担は、フォークリフト誘導者の役割と合図の種類で解説しています。

荷を載せたまま後進で曲がる場面では、周囲の確認が難しくなると言われています。後進でハンドル操作が乱れる理由は、フォークリフトの後進が難しい理由で扱っています。

路面が原因のフォークリフトの荷崩れと対策

フォークリフトの荷崩れの原因が路面の段差や傾斜にある場合は、運行経路の状態を整える対策を行うと、走行中の荷の揺れを減らすことに繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、荷を載せて通る経路から荷崩れの要因を取り除ける状態を目指しましょう。

路面に関して事業者が確認する事項は次のとおりです。

  • 運行経路の必要な幅員を保ち、地盤の不同沈下と路肩の崩壊を防ぐ(労働安全衛生規則 第151条の6)
  • 地形や地盤の状態に応じた制限速度を定める(同第151条の5)
  • 段差・溝・傾斜のある場所を把握し、通路図や掲示で作業者に知らせる

第151条の6は転倒・転落の防止を目的とした条文ですが、段差や不同沈下は走行中の荷の揺れを大きくし、荷崩れの要因にもなると言われています。床の補修には費用と時間がかかる場合があるため、補修までの間は該当箇所の手前で一時停止する等の運用で対応します。


フォークリフトの荷崩れ対策の基準は?バックレストと積載のルールで原因を抑える

フォークリフトの荷崩れ対策の基準として、労働安全衛生規則はバックレストの装備と偏荷重のない積載を事業者に義務づけており、事業者は荷崩れの原因と被害を装備と積み方の両面から抑えます。

本項目では、荷崩れに関わる次の3つの基準を扱います。

  • バックレストがフォークリフトの荷崩れの被害を防ぐ仕組み
  • フォークリフトのヘッドガードが防ぐ荷崩れの落下物
  • 積載の基準で防ぐフォークリフトの荷崩れの原因

条文ごとの役割を区別すると、始業前点検と教育で何を確かめればよいかが明確になります。

バックレストがフォークリフトの荷崩れの被害を防ぐ仕組み

バックレストの装備を確かめると、荷崩れの原因が残っていても、フォークリフトの荷崩れで崩れた荷が運転者側へ落ちる被害を防ぐ対策に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、バックレストの有無と状態を点検で確かめられる状態を目指しましょう。

バックレスト(荷受け枠のこと。フォークに載せた荷がマストの後方へ落ちるのを防ぐ枠)に関する要点は次のとおりです。

  • バックレストを備えたものでなければ使用できない(労働安全衛生規則 第151条の18)
  • マストの後方に荷が落下して労働者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない(同条ただし書)
  • 自主検査や始業前点検で異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じる(同第151条の26)

バックレストは荷崩れそのものを止める装置ではなく、崩れた荷が運転者側へ落ちる被害を防ぐ装置です。荷崩れの発生は積み方と運転で防ぎ、発生したときの被害はバックレストとヘッドガードで抑える、と役割を分けて作業者に説明します。

フォークリフトのヘッドガードが防ぐ荷崩れの落下物

ヘッドガードの基準を確かめると、フォークリフトの荷崩れで高い位置から荷が落ちる事故に備え、荷崩れの原因が残る間も運転者の頭上を守る対策に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、ヘッドガードの強度の基準を説明できる状態を目指しましょう。

労働安全衛生規則 第151条の17が定めるヘッドガードの基準のうち、強度と使用の条件、異常時の措置は次のとおりです。

項目基準補足
強度フォークリフトの最大荷重の2倍の値(4トンを超える場合は4トン)の等分布静荷重に耐える(※1)最大荷重3トンの車両は2倍が6トンとなり、上限の4トンが基準になる計算
使用の条件基準に適合するヘッドガードを備えたものでなければ使用しない荷の落下により運転者に危険を及ぼすおそれのないときは、この限りでない(同条ただし書)
異常時の措置点検で異常を認めたら直ちに補修する同第151条の26

ヘッドガードは、高く積んだ荷やラックの上段から落ちる荷に備える装備です。荷を高く上げる作業が多い現場では、始業前点検でヘッドガードの変形や取付けのゆるみを確かめる項目を設けます。

(※1)出典:安全衛生情報センター「労働安全衛生規則 第2編 第1章の2 荷役運搬機械等」

積載の基準で防ぐフォークリフトの荷崩れの原因

積載の基準を作業手順に書き込むと、フォークリフトの荷崩れの原因を積む段階で抑える対策に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、積載の基準を作業者に説明できる状態を目指しましょう。

積載に関する条文と荷崩れとの関係は次のとおりです。

条文事業者が行うこと荷崩れとの関係
労働安全衛生規則 第151条の10第1号偏荷重が生じないように積載する荷の傾きを防ぐ
同条第2号荷崩れ又は荷の落下による危険を防止するため、ロープ又はシートを掛ける等の措置を講じる荷の動きを止める
労働安全衛生規則 第151条の20許容荷重その他の能力を超えて使用しない車両の安定を保つ
労働安全衛生規則 第151条の3荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定める荷ごとの積み方を事前に決める

第151条の10は偏荷重のない積載と荷の固定を求める条文で、第151条の3は荷の種類や形状に合わせた作業計画を求める条文です。荷崩れに関わる条文以外も含めた法令の全体像は、フォークリフトの安全衛生法令の全体像で整理しています。


崩れた荷を直す最中のフォークリフト事故の原因と荷崩れ対策

フォークリフトの荷崩れを直している最中の事故の原因は、災害事例No.1036では運転席から身を乗り出す動作と停止措置の省略で、対策は降車前の停止措置と、フォークで支えた荷の下への立入禁止です。

本項目では、次の2つを扱います。

  • 事例No.1036に見るフォークリフトの荷崩れ修復中の事故の原因
  • 荷崩れを直す前にとるフォークリフトの停止措置と立入禁止

事例の原因を知ると、修復の手順を決める理由を作業者へ説明しやすくなります。

事例No.1036に見るフォークリフトの荷崩れ修復中の事故の原因

職場のあんぜんサイトの災害事例No.1036を読むと、フォークリフトの荷崩れを直す場面の事故の原因が分かり、対策の優先順位を決めることに繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、同じ条件が自社の現場にないかを確かめられる状態を目指しましょう。

災害事例No.1036は、印刷業の事業場(規模5〜15人)で、フォークリフトの積荷の荷崩れを直そうとした作業者が死亡した事例です(※1)。作業者は運転席から身を前方に乗り出し、荷役操作レバーが体に触れてマストとヘッドガードの間にはさまれました。

事例の原因欄に記載された内容は次のとおりです。

区分原因自社で確かめること
直接の原因フォークを最低降下位置に下げず、原動機を止めず、ブレーキもかけずに運転席を離れた降車前の3つの操作が手順書にあるか
直接の原因運転の有資格者が1名のみで、不在時に無資格の被災者が運転しなければならなかった有資格者の人数とシフト
間接の原因原動機キーが常に付けたままで、資格のない者が使える状態だったキーを管理する担当者
間接の原因倉庫内の照明が暗く、通路が狭かった作業場所の明るさと通路幅
間接の原因パレット上の積荷が細長いロールで、積荷同士の間隔が狭く、運搬中に荷崩れが生じやすかった荷姿ごとの固定方法

事例の対策欄は、有資格者の確保、作業計画の作成、管理責任者によるキーの管理、荷崩れ防止措置を挙げています。荷崩れを直す手順と、荷崩れを起こさない積み方の両方を整えると、同じ事故の再発防止に繋がると考えられます。

(※1)出典:職場のあんぜんサイト「フォークリフトの積荷の荷崩れを修復中、マストとヘッドガードとの間にはさまれる」

荷崩れを直す前にとるフォークリフトの停止措置と立入禁止

荷崩れを直す前の停止措置を徹底すると、フォークリフトの荷崩れの修復中に起きる事故の原因を取り除き、作業者を守る対策に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、崩れた荷を安全に直せる状態を目指しましょう。

労働安全衛生規則 第151条の11は、運転者が運転位置から離れるときに、フォーク等の荷役装置を最低降下位置に置くことと、原動機を止めてブレーキを確実にかける等の逸走防止措置を求めています。運転位置を離れるときのルールは、フォークリフトの現場安全ルールの作り方で扱っています。

荷崩れを直すときの手順は次のとおりです。

  1. フォークリフトを停止し、運転席から身を乗り出して荷に触れない
  2. フォークを最低降下位置に下げ、原動機を止め、ブレーキを確実にかけてから降りる
  3. フォークや、フォークで支えている荷の下に立ち入らない(労働安全衛生規則 第151条の9)
  4. 崩れた荷の周囲に人を近づけず、荷を積み直す
  5. 荷崩れの原因を積み方・走行・旋回・路面のどれに当たるかで記録し、作業指揮者へ報告する

荷役作業の安全対策ガイドラインも、マストとヘッドガードに挟まれる災害を防ぐため、運転席から身を乗り出さないことを労働者に守らせる事項に挙げています。荷崩れを直す場面では作業を早く再開したい心理が働くと言われているため、手順の1と2を朝礼や教育で繰り返し伝えます。


荷役作業の安全対策ガイドラインが求めるフォークリフトの荷崩れの原因への対策

陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドラインは、フォークリフトの荷崩れの原因となる操作を減らす対策として、荷崩れ防止措置や急停止・急旋回の禁止を労働者に守らせるよう求めています。

厚生労働省のリーフレットによると、令和2年の陸上貨物運送事業の死傷者15,815人から無作為に抽出した1,000件では、荷役災害が65%を占めました(※1)。ガイドラインは平成25年3月25日に策定され、令和5年3月28日に改正されました(※2)。

ガイドラインは、第2で陸運事業者の実施事項を、第3で荷主等の実施事項を定めています。工場や倉庫で荷を受け渡す荷主等の担当者も、自社の構内で行われる荷役作業の対策として確認できます。

本項目では、次の3つを扱います。

  • ガイドラインが労働者に守らせるフォークリフトの荷崩れ対策
  • 陸運事業者が整えるフォークリフトの荷崩れ対策の環境
  • 長尺物・ロール物のフォークリフトの荷崩れ対策

ガイドラインの項目を自社の手順と照らし合わせると、不足している対策が分かります。

(※1)出典:厚生労働省「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」リーフレット(令和5年1月)
(※2)出典:陸上貨物運送事業労働災害防止協会「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」

ガイドラインが労働者に守らせるフォークリフトの荷崩れ対策

ガイドラインの遵守事項を作業者に周知すると、フォークリフトの荷崩れの原因となる操作を減らす対策に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、遵守事項を朝礼や教育で伝えられる状態を目指しましょう。

陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドラインが、フォークリフトを用いて荷役作業を行う労働者に守らせる事項として挙げる11項目のうち、荷崩れに関係する項目は次のとおりです。

  • 荷崩れ防止措置を行う
  • マストとヘッドガードに挟まれる災害を防止するため、運転席から身を乗り出さない
  • 急停止、急旋回を行わない
  • 荷役作業場の制限速度を遵守する
  • フォークに荷を載せて前進するときは、前方(荷の死角)の確認を徹底する

残りの項目には、用途外使用の禁止、シートベルトの着用、逸走防止措置、バック走行時の後方確認などがあります。11項目を1枚の掲示物にまとめ、フォークリフトの乗降場所に貼ると、作業の直前に確認できます。

陸運事業者が整えるフォークリフトの荷崩れ対策の環境

陸運事業者が作業環境を整えると、フォークリフトの荷崩れの原因を作業者個人の注意だけに頼らずに減らす対策に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、自社の構内で不足している措置を見つけられる状態を目指しましょう。

ガイドラインが陸運事業者に求める措置は次のとおりです。

措置ガイドラインが求める内容具体例
有資格者による運転最大荷重に合った資格を有している労働者に運転させる資格の種類を名簿で管理する
構内ルールの掲示制限速度、安全通路等の構内ルールを定め、見やすい場所に掲示する構内の入口と通路の分岐点に掲示する
ミラーの設置通路の死角部分にミラーを設置し、周知する交差部や棚の角に設置する
走行場所の区分フォークリフトの走行場所と歩行通路を区分する床面の線や柵で区分する

走行場所の区分とミラーの設置は、荷崩れが起きたときに周囲の作業者が巻き込まれる範囲を小さくすると考えられます。荷主の事業場で荷役作業を行う場合は、構内ルールの内容を荷主と事前に確認します。

長尺物・ロール物のフォークリフトの荷崩れ対策

鋼管や丸太、ロール紙のような転がりやすい荷に歯止めを使うと、フォークリフトの荷崩れの原因となる荷の転がりを止める対策に繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、荷姿ごとの固定方法を決められる状態を目指しましょう。

転がりやすい荷を扱うときの確認事項は次のとおりです。

  • 鋼管、丸太、ロール紙等は、歯止め等を用いて確実に荷崩れを防止する(ガイドライン)
  • 細長いロールを間隔を狭く積まない。災害事例No.1036で間接の原因に挙げられている
  • ロープ解きやシート外しの作業は、荷の落下の危険がないことを確認してから行う(ガイドライン)

長尺物やロール物は、フォークの上で前後左右へ転がりやすい形の荷です。歯止めの数や位置を荷の種類ごとに決め、作業計画に書いておくと、作業者が替わっても同じ固定方法を守れます。


フォークリフトの荷崩れの原因を減らす現場の対策と効果の確かめ方

フォークリフトの荷崩れの原因を減らす対策は、作業計画と手順書に書き込み、効果を自社の記録で確かめます。全国では、陸上貨物運送事業の死亡者数が令和7年に80人となり、前年から25.9%減りました(※1)。

本項目では、次の2つを扱います。

  • 全国の労働災害の推移とフォークリフトの荷崩れ対策の効果の確かめ方
  • 荷崩れ対策をフォークリフトの作業計画と手順書に書き込む方法

減少している全国の指標と自社の記録を並べると、荷崩れ対策を続ける理由を現場へ説明しやすくなります。

(※1)出典:厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況を公表」

全国の労働災害の推移とフォークリフトの荷崩れ対策の効果の確かめ方

減少している指標を確かめると、フォークリフトの荷崩れの原因への対策を続ける意味を現場へ説明することに繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、自社の取組みを全国の傾向と比べられる状態を目指しましょう。

公表されている指標の動きは次のとおりです。

指標値出典
全産業の死亡者数(令和7年)700人。前年比46人(6.2%)減で過去最少厚生労働省(※1)
陸上貨物運送事業の死亡者数(令和7年)80人。前年比28人(25.9%)減厚生労働省(※1)
陸上貨物運送事業の休業4日以上の死傷者数(令和7年)15,632人。前年比660人(4.1%)減厚生労働省(※1)
フォークリフトに起因する労働災害(2024年=令和6年)死亡災害、死傷災害ともに2年連続で減少し、死亡災害は20件を下回った日本産業車両協会(※2)

表の数値は、荷崩れに限った件数ではありません。荷崩れ対策の効果を自社で確かめるには、荷崩れの発生件数を月ごとに記録し、対策の前後で比べます。件数が少ない現場では、荷崩れしかけた場面も記録に含めると変化を読み取りやすくなると言われています。

(※1)出典:厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況を公表」
(※2)出典:日本産業車両協会「フォークリフトに起因する労働災害の発生状況」(2025年7月4日)

荷崩れ対策をフォークリフトの作業計画と手順書に書き込む方法

荷崩れ対策を作業計画に書き込むと、フォークリフトの荷崩れの原因への対策が作業者ごとにばらつくのを防ぐことに繋げやすくなります。以下のポイントを押さえ、作業計画と手順書に荷崩れ対策を書き込める状態を目指しましょう。

労働安全衛生規則 第151条の3は荷の種類及び形状等に適応する作業計画を定めることを、同第151条の4は作業指揮者を定めて作業計画に基づき指揮させることを、事業者に求めています。荷崩れ対策が定着するかどうかは、作業計画への書き方で差が出ると考えられます。

荷崩れ対策の進め方を比べると、次のとおりです。

項目続かない進め方続く進め方
荷姿ごとの固定方法作業者の経験に任せる荷姿ごとにフィルムやロープ等の固定方法を作業計画に書く
制限速度口頭で伝えるだけにする数値を決め、見やすい場所に掲示する
荷崩れを直す手順気づいた人がその場で直す停止措置から報告までを手順書に書く
荷崩れの記録起きても記録を残さない原因の4分類で記録し、月ごとに見直す

藤崎 遊は、AIに記事を書かせる際に実際にはない経歴まで書かれる危険があると気づき、自分の体験を台帳にまとめて参照させる方式に切り替えました。便利さより、後から検証できることを優先すべきだと感じました。

フォークリフトの荷崩れ対策も、後から検証できる形にしておくと、手順が守られたかを確かめやすくなると考えられます。荷崩れを直す手順を手順書に書いて運転席から見える位置に掲示し、荷崩れの記録と照らし合わせます。手順書の作り方は、フォークリフトの安全作業手順書の作り方で解説しています。


フォークリフトの荷崩れの原因と対策に関するよくある質問

フォークリフトの荷崩れの原因と対策について、現場で迷いやすい7つの質問に、労働安全衛生規則と荷役作業の安全対策ガイドラインの根拠を添えて答えます。質問は次のとおりです。

  • フォークリフトの荷崩れの主な原因と対策は何ですか?
  • バックレストのないフォークリフトを使ってもよいですか?
  • フォークリフトの荷崩れを運転席に座ったまま直してもよいですか?
  • フォークリフトの荷崩れ対策にフィルムを巻く必要はありますか?
  • フォークリフトの荷崩れを防ぐ制限速度は何km/hですか?
  • フォークリフトの荷崩れで周囲の作業者を守る対策は何ですか?
  • フォークリフトの荷崩れのヒヤリハットはどう活かせばよいですか?

フォークリフトの荷崩れの主な原因と対策は何ですか?

フォークリフトの荷崩れの原因は、本記事では積み方・走行・旋回・路面の4つに分けており、対策は原因ごとに選びます。積み方には偏荷重のない積載と荷の固定、走行と旋回には急停止・急旋回をしない運転と制限速度の遵守、路面には運行経路の幅員の保持と段差の把握で対応します。

バックレストのないフォークリフトを使ってもよいですか?

バックレストは荷崩れの原因を取り除く装置ではなく被害を抑える対策であり、バックレストのないフォークリフトは原則として使用できません。労働安全衛生規則第151条の18は、バックレストを備えたものでなければ使用してはならないと定めています。

例外は、マストの後方に荷が落下して労働者に危険を及ぼすおそれのないときに限られます。

フォークリフトの荷崩れを運転席に座ったまま直してもよいですか?

フォークリフトの荷崩れを運転席から身を乗り出して直す動作は、はさまれ事故の原因になるため、対策として降車してから直します。職場のあんぜんサイトの災害事例No.1036では、身を乗り出した作業者がマストとヘッドガードの間にはさまれて死亡しました。

フォークを最低降下位置に下げ、原動機を止め、ブレーキをかけてから降ります。

フォークリフトの荷崩れ対策にフィルムを巻く必要はありますか?

フォークリフトの荷崩れ対策としてフィルムを巻くことは法令で必須とされておらず、荷崩れの原因が荷の高さや形状にある場合に選べる方法の1つです。労働安全衛生規則第151条の10はロープ又はシートを掛ける等の措置を求めており、方法を1つに限っていません。

災害事例No.1036の対策欄は、収縮性プラスチックフイルムでパレットの荷を覆う措置等を挙げています。

フォークリフトの荷崩れを防ぐ制限速度は何km/hですか?

フォークリフトの荷崩れの原因となる急な加減速を減らす対策として事業者が制限速度を定めますが、労働安全衛生規則第151条の5は具体的な数値を示していません。同条は、最高速度が毎時10キロメートル以下のものを除き、作業場所の地形や地盤の状態等に応じた適正な制限速度を、あらかじめ定めるよう求めています。

定めた速度は、荷役作業の安全対策ガイドラインに沿って見やすい場所に掲示します。

フォークリフトの荷崩れで周囲の作業者を守る対策は何ですか?

フォークリフトの荷崩れで周囲の作業者が下敷きになる事故への対策は、荷崩れの原因が残る場所に人を立ち入らせないことと、誘導者の配置です。

労働安全衛生規則第151条の7は運転中の車両や荷に接触するおそれのある箇所への立入禁止の表示を求め、第151条の9はフォークや、フォークで支えている荷の下への立入りを禁じています。

フォークリフトの荷崩れのヒヤリハットはどう活かせばよいですか?

フォークリフトの荷崩れのヒヤリハットは、原因を積み方・走行・旋回・路面に分けて記録すると、対策を選ぶ材料になります。同じ原因が続く場合は、作業計画の固定方法や制限速度を見直します。荷崩れしかけた場面も記録に含めると、件数の少ない現場でも傾向を読み取りやすくなると言われています。


フォークリフトの荷崩れの原因と対策のまとめ

フォークリフトの荷崩れの原因を積み方・走行・旋回・路面の4つに分け、対策は装備と積載の基準、修復前の停止措置、ガイドラインの遵守、作業計画への書き込みを組み合わせて整えます。

本記事の要点は次のとおりです。

  • 荷崩れの原因を積み方・走行・旋回・路面の4つに分け、原因ごとに対策を選ぶ
  • バックレストとヘッドガードを備え、偏荷重のない積載と荷の固定を行う
  • 崩れた荷は、フォークを最低降下位置に下げ、原動機を止め、ブレーキをかけてから降りて直す
  • ガイドラインの遵守事項のうち、荷崩れ防止措置と急停止・急旋回の禁止を作業者に周知する
  • 荷姿ごとの固定方法と修復の手順を作業計画と手順書に書き、荷崩れの記録を月ごとに見直す

📢 【死角における接触・衝突事故を防ぎたい安全担当者様へ:無料配布中】

当ブログの事故防止データから抽出した、誘導員が的確な合図を送れるようになるための
『死角での衝突事故を仕組みでゼロにする!「フォークリフト誘導者の基本配置&合図声掛けマニュアル(PDF版)」』
が完成しました。

手信号のやり方や現場で共有すべき基準が視覚的な図解でまとまっています。無料登録いただいた方へ、登録後すぐにお届けします。

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