フォークリフト誘導者に資格は不要|配置が義務になる場面を解説

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フォークリフト誘導者に資格は必要ありませんが、労働安全衛生規則により配置が義務になる場面があるため、現場で迷いやすい4つの場面と答えを以下の表にまとめました。

現場でよくある迷い答え
「誘導を頼まれたが、資格がないまま立っていていいのか」フォークリフト誘導者に資格は不要。労働安全衛生規則に資格要件の定めがない(詳しくはこちら
「うちの現場は、誘導者を置かないと違反になるのか」路肩や傾斜地など転倒・転落のおそれがある場所では、フォークリフト誘導者の配置が義務(詳しくはこちら
「運転者が降りて自分で誘導すれば足りるのではないか」労働安全衛生規則は、運転者と誘導者を別の者として定めている。運転者は誘導者の誘導と合図に従う側にあたる(詳しくはこちら
「作業指揮者を決めてあるから、誘導者は不要ではないか」作業指揮者の選任と誘導者の配置は、労働安全衛生規則で別々に定められた義務(詳しくはこちら

本記事を読むと、フォークリフト誘導者の配置が義務なのか任意なのかを、条文単位で判断できるようになります。この切り分けを飛ばしたまま現場を動かすと、作業計画そのものを作り直すことになります。

まず、フォークリフト誘導者に資格が不要である根拠を、労働安全衛生規則の条文で確認します。

目次

フォークリフト誘導者に資格は必要ですか?

フォークリフト誘導者に資格は必要ありません。労働安全衛生規則は事業者に誘導者の配置を義務づけていますが、誘導者本人が備えるべき免許や技能講習の修了を定めた条文は置かれていないためです。

法令がフォークリフト誘導者に資格を求めていない理由

法令がフォークリフト誘導者に資格を求めていないのは、誘導者が「機械を操作する人」ではなく「機械の外から安全を確保する人」だからです。労働安全衛生規則は、危険な機械を操作する業務にだけ資格を要求する構造になっています。

フォークリフト誘導者に関係する条文は、第151条の6(転倒等の防止)、第151条の7(接触の防止)、第151条の8(合図)の3つです。いずれも事業者に対して「誘導者を配置しなさい」「誘導者に合図を行わせなさい」と命じる形で書かれており、誘導者の要件そのものには触れていません。

フォークリフト誘導者と運転者で必要な資格が違う理由

フォークリフト誘導者と運転者で必要な資格が違うのは、運転だけが「就業制限業務」に指定されているからです。就業制限業務とは、資格を持たない人を就かせてはならないと法律で定められた業務を指します。

立場必要な資格
フォークリフトの運転者(最大荷重1トン以上)フォークリフト運転技能講習の修了(労働安全衛生法施行令 第20条第11号
フォークリフトの運転者(最大荷重1トン未満)特別教育の修了
フォークリフト誘導者資格の定めなし

誘導者の具体的な役割や、現場で何を見て何を伝えるのかについては、フォークリフト誘導者の役割と業務範囲で解説しています。

フォークリフト誘導者に資格がなくても事業者に求められること

フォークリフト誘導者に資格がなくても、事業者には3つの準備が求められます。資格が不要であることと、誰でもその場に立たせてよいことは別の話です。

  • 作業計画を定める:運行経路と作業方法を示した計画を作り、関係労働者に周知する(第151条の3)
  • 合図を定める:誘導者を置くときは一定の合図を定め、その合図を行わせる(第151条の8)
  • 教育を行う:雇い入れたときや作業内容を変更したときは、その業務に関する安全衛生教育を行う(第35条)

フォークリフト誘導者の資格については、根拠となる条文が規則の複数の条に分かれており、まとまった形では公開されていません。SEOのプロとして培ってきたスキル・経験を活かして、法令などの読みづらい・リーチしづらい情報を徹底的に調べ、わかりやすくまとめるよう意識しました。

フォークリフト誘導者の配置が義務になる場面と資格の関係

フォークリフト誘導者の配置が義務になるのは、転倒や転落のおそれがある場所で作業するときです。資格は不要でも配置は義務であり、この2つは別々に判断します。

誘導者が防ごうとしているのは、人と機械の接触です。日本産業車両協会が厚生労働省の労働災害統計をもとに公表したフォークリフトに起因する労働災害の発生状況によると、フォークリフトに起因する死傷災害のうち「はさまれ・巻き込まれ」と「激突され」が合わせて62.7%を占めています。

フォークリフト誘導者の配置が義務になる場面(転倒・転落のおそれ)

フォークリフト誘導者の配置が義務になるのは、路肩や傾斜地などで作業を行い、機械の転倒または転落によって労働者に危険が生ずるおそれがある場合です。労働安全衛生規則 第151条の6第2項が、事業者に対して誘導者の配置を求めています。

この場合、誘導者を置かないという選択肢はありません。立入禁止の表示や柵の設置で代えることもできません。

フォークリフト誘導者の配置が立入禁止の例外になる場面(接触のおそれ)

フォークリフト誘導者の配置が立入禁止の例外として扱われるのは、運転中の機械や荷に接触するおそれがある箇所についてです。労働安全衛生規則 第151条の7は、まずその箇所への立ち入りを禁止するよう事業者に求め、そのうえで、誘導者を配置して誘導させるときはこの限りでないとしています。

つまり原則は立入禁止であり、誘導者の配置はその代わりに認められる手段という位置づけです。人を通す必要がある通路については、誘導者を置くか、通路そのものを機械の運行経路から分けるかを選ぶことになります。

条文誘導者の位置づけ
第151条の6第2項転倒・転落のおそれがあるときは、配置が義務
第151条の7ただし書接触のおそれがある箇所では、立入禁止に代わる手段として配置

フォークリフト運転者がフォークリフト誘導者の誘導に従う義務

フォークリフト運転者には、フォークリフト誘導者の誘導に従う義務があります。労働安全衛生規則は、第151条の6第3項、第151条の7第2項、第151条の8第2項の3か所で、運転者は誘導者の誘導または合図に従わなければならないと定めています。

この書き方から分かるとおり、規則は運転者と誘導者を別の者として想定しています。運転者がいったん降りて自分で周囲を確認しても、誘導者を配置したことにはなりません。

誘導に従う義務は運転者本人に課されているため、事業者が誘導者を配置しただけでは足りません。誘導者の指示より自分の判断を優先した運転は、規則に反する行為にあたります。

フォークリフト誘導者の資格と作業指揮者の資格の違い

フォークリフト誘導者と作業指揮者は、どちらも免許や技能講習を必要としません。ただし作業指揮者には安全教育のカリキュラムが国から示されており、この点が誘導者との大きな違いです。

作業指揮者を指名するにあたっては、厚生労働省の職場のあんぜんサイトが3つの要素を挙げています。車両系荷役運搬機械等に関する知識、当該作業についての知識と経験、職長等の地位の3点です。

フォークリフト作業で作業指揮者の選任が必要になる場面

フォークリフト作業で作業指揮者の選任が必要になるのは、車両系荷役運搬機械等を用いて作業を行うときです。労働安全衛生規則 第151条の4が、事業者に対して作業指揮者を定め、作業計画に基づく指揮を行わせるよう求めています。

ただし、一人で作業計画に基づいて作業する場合は、作業指揮者の選任は不要とされています。2名以上で作業を行う場合に選任が必要になる、と整理しておくと分かりやすくなります。

作業指揮者にもフォークリフト誘導者と同じく免許や技能講習はない

作業指揮者にも、フォークリフト誘導者と同じく免許や技能講習の定めはありません。ただし作業指揮者については、車両系荷役運搬機械等作業指揮者安全教育のカリキュラムが国から示されており、この教育を受けた者を指名することが求められています。

陸上貨物運送事業労働災害防止協会の講習資格の一覧でも、車両系荷役運搬機械等の作業指揮者は「厚生労働省が示す作業指揮者教育のカリキュラムに基づく教育を受講した者」と説明されています。一方、誘導者はこの一覧に載っていません。

比較する項目フォークリフト誘導者作業指揮者
免許・技能講習定めなし定めなし
国が示す教育カリキュラムなしあり
根拠となる条文第151条の6、第151条の7、第151条の8第151条の4
一人作業のとき危険がなければ配置不要選任不要

フォークリフト誘導者と作業指揮者は現場での立ち位置が違う

フォークリフト誘導者と作業指揮者は、現場での立ち位置が違います。誘導者は機械の動きに合わせてその場で誘導するため、作業場に常駐する必要があると言われています。

一方の作業指揮者は、作業計画に基づいて作業を指揮する立場です。計画の管理が中心となるため、作業中ずっと現場に張り付いている必要は必ずしもないと言われています。

そのため、作業指揮者を決めてあることは、誘導者を配置したことにはなりません。両者は労働安全衛生規則で別々の条文に定められた、別の役割です。

フォークリフト誘導者に資格がなくても必要な社内の準備

フォークリフト誘導者に資格がなくても、事業者には合図・作業計画・教育という3つの準備が求められます。資格の代わりに、仕組みで安全を担保する構造になっています。

教育については、フォークリフトの運転業務に就いている人を対象に、概ね5年ごとの安全衛生教育が求められています。誘導者を対象とした同様の定めはありません。

フォークリフト誘導者に行わせる合図の定め方

フォークリフト誘導者を置くときは、事業者が一定の合図を定め、その合図を誘導者に行わせなければなりません。労働安全衛生規則 第151条の8が定めるとおり、運転者はその合図に従う義務を負います。

合図の内容そのものは規則で指定されていません。前進・後退・停止・徐行といった動作ごとに、手や旗をどう動かすかを事業場ごとに決めることになります。

合図を決めたら、運転者と誘導者の両方が同じ内容を覚えている状態にしてください。運転者と誘導者で合図の理解がずれていると、合図を定めた意味がなくなります。

フォークリフト誘導者を含めた作業計画の作成

フォークリフト誘導者を配置する前提として、事業者は作業計画を定める必要があります。労働安全衛生規則 第151条の3は、作業に係る場所の広さや地形、機械の種類と能力、荷の種類と形状に適応した計画を求めています。

作業計画には、機械の運行経路と作業の方法を示さなければなりません。さらに、定めた内容を関係労働者に周知することまでが事業者の義務です。

誘導者をどこに立たせるかは、この運行経路と表裏の関係にあります。経路が決まっていなければ、誘導者が安全に立てる位置も決まりません。

フォークリフト誘導者への教育と記録の残し方

フォークリフト誘導者への教育について、資格のような一律の基準は設けられていません。ただし労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときは、その業務に関する安全衛生教育を行う必要があります。

実務では、次の3点を記録に残しておくと、後から説明できる状態を作れます。

  • 誰を誘導者にしたか:作業計画の作業指揮者欄と合わせて、誘導者の氏名を残す
  • どの合図を教えたか:定めた合図の一覧と、それを説明した日付と対象者
  • どこに立たせたか:運行経路図の中に誘導者の位置を書き込んでおく

あわせて、誘導者の装備も検討しておくとよいと言われています。運転者から見つけやすい色のベストやヘルメットを使う、荷の高さや長さによって誘導者を2名にするといった運用を、社内の基準として決めている現場もあります。

フォークリフト誘導者の資格に関するよくある質問

フォークリフト誘導者の資格に関する質問は、資格の要否、配置の義務、合図の方法、雇用形態の4点に集中します。ここでは、本文で扱いきれなかった論点も含めて7問にまとめました。

フォークリフトの誘導者に資格は必要ですか?

必要ありません。労働安全衛生規則には、誘導者本人が備えるべき免許や技能講習を定めた条文が置かれていないためです。ただし、事業者が誘導者を配置しなければならない場面は規則で定められているため、資格が不要であることと、誘導者を置かなくてよいことは別の話になります。

フォークリフト誘導者を配置しないと法令違反になりますか?

場面によります。路肩や傾斜地などで転倒・転落のおそれがある場合は、労働安全衛生規則 第151条の6第2項により配置が義務です。一方、接触のおそれがある箇所については、立入禁止の措置を講じていれば誘導者を置かないという選択もできます。どちらにも当たらない通常の作業では、配置の義務はありません。

フォークリフト誘導者と作業指揮者は兼任できますか?

規則上、兼任を禁じる条文はありません。ただし作業指揮者は作業計画に基づいて作業全体を指揮する立場、誘導者は機械の動きに合わせてその場で誘導する立場であり、求められる動きが異なります。同じ人が両方を担うと、どちらかが手薄になりやすいと言われています。

フォークリフト誘導者の合図に決まった方法はありますか?

規則で指定された合図はありません。労働安全衛生規則 第151条の8は、事業者が一定の合図を定め、誘導者にその合図を行わせることを求めているだけです。前進・後退・停止・徐行といった動作ごとに、事業場で合図を決めて周知することになります。

構内でフォークリフトを誘導する人に交通誘導警備業務検定は必要ですか?

必要ありません。交通誘導警備業務に関する検定は、警備業として道路上などで交通の誘導を行う場合の制度であり、事業場の構内でフォークリフトを誘導する行為とは別のものです。本記事の主題と直接の関係はありませんが、名称が似ているため混同されやすい点として補足しました。

アルバイトやパートをフォークリフト誘導者にしてもよいですか?

雇用形態による制限はありません。ただし、労働者を雇い入れたときや作業内容を変更したときは、その業務に関する安全衛生教育を行う必要があります。合図の内容と運行経路を理解していない人をその場に立たせると、誘導者を配置した意味がなくなります。

フォークリフト誘導者を配置すれば立入禁止の表示は不要になりますか?

接触のおそれがある箇所については、誘導者を配置して誘導させる場合、立入禁止としなくてよいとされています。労働安全衛生規則 第151条の7がただし書でそのように定めているためです。ただし、転倒・転落のおそれがある場合の誘導者の配置は別の条文による義務であり、こちらは立入禁止の措置と置き換える関係にはありません。

フォークリフト誘導者の資格に関するまとめ

フォークリフト誘導者に資格は必要ありませんが、配置が義務になる場面と、事業者が整えるべき仕組みは労働安全衛生規則で定められています。最後に、判断に必要な4点を整理します。

  • 資格は不要:規則には誘導者本人の免許や技能講習を定めた条文がない
  • 配置は場面で決まる:転倒・転落のおそれがあるときは義務、接触のおそれがある箇所では立入禁止に代わる手段
  • 運転者は兼ねられない:規則は運転者を、誘導者の誘導と合図に従う側として定めている
  • 資格の代わりに仕組みで担保する:合図を定め、作業計画に運行経路を示し、教育を行う

当サイトではフォークリフトに関する記事を公開しており、記事内の無料マニュアル先行予約フォームには物流関連の企業からも登録をいただいています。現場で判断に迷いやすいテーマなのだと、あらためて感じています。

自社の現場がどれに当たるかは、作業場所の地形と、人が機械の近くを通るかどうかで判断できます。まずは作業計画の運行経路を開いて、人の動線と重なっている箇所がないかを確認してみてください。

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