フォークリフトの始業点検チェックリストは、労働安全衛生規則が定める4項目を土台に、運転者が毎日同じ順番で確認して結果を残せる形に作りますが、項目の選び方や記録の扱いは条文だけでは判断しにくいため、現場で迷いやすい6つの場面と答えを以下の表にまとめました。
| 現場で迷いやすい場面 | 答え |
|---|---|
| 始業点検のチェックリストに、何の項目を入れれば法令を満たすのだろう | 労働安全衛生規則第151条の25の4項目を入れれば、法令が求める範囲を満たします。メーカーの点検項目は上乗せとして加えます。法定4項目を確認する |
| 点検のやり方が人によってばらばらで、何から見ればいいのか分からない | 外まわり、運転席、作動確認の3段階で、毎回同じ順番に確認します。3つの手順を確認する |
| エクセルで点検表を作りたいが、どんな欄を設ければいいのだろう | 1台につき1か月1枚とし、点検日、点検者、結果、異常の内容、措置、確認者の欄を設けます。作り方と記入例を確認する |
| 点検表は誰が書いて、何年取っておけばいいのだろう | 点検の義務は事業者にあり、実施者は事業者が決めます。始業点検の記録には法定の保存期間がないため、保存期間は社内で決めます。実施者と保存期間を確認する |
| ブレーキの効きが悪いと気づいたが、今日の作業を止めてもいいのだろうか | その車両の使用を止めて補修します。点検で異常を認めたときの補修は、事業者の義務です。異常時の対応を確認する |
| 月次点検や年次点検をしているなら、毎日の点検は省いてもいいのではないか | 省けません。毎日の始業点検と、月次・年次の定期自主検査は別々の義務です。3つの点検の違いを確認する |
この記事を読むと、法令の4項目を押さえた点検表をエクセルで作り、異常時の止め方と記録の残し方まで現場のルールとして決められるようになります。一方で、点検項目や異常の判断基準を決めないまま点検を始めると、運転者ごとに確認の範囲がずれ、事故後の確認で点検の実施を説明できず、様式の作り直しが発生しやすくなります。
まずは、労働安全衛生規則がフォークリフトの始業点検に求める4項目から確認しましょう。
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フォークリフト始業点検チェックリストの法定4項目とは?日常点検の法令を確認
フォークリフトの始業点検チェックリストには、労働安全衛生規則が定める制動・操縦装置、荷役・油圧装置、車輪、灯火・警報装置の4項目を必ず入れ、メーカーの点検項目を上乗せして作ります。
日常点検の法令上の根拠は、労働安全衛生規則 第151条の25です。ここでは、条文の4項目、上乗せする項目、点検をめぐる災害の動きを次の順で扱います。
- 日常点検の法令(第151条の25)が定めるフォークリフト始業点検の4項目
- フォークリフトの始業点検チェックリストに上乗せするメーカーの確認項目
- フォークリフトの災害の減少と始業点検チェックリストの位置づけ
条文の言葉を先に押さえると、点検表の大項目をどう立てるかで迷わなくなります。
日常点検の法令(第151条の25)が定めるフォークリフト始業点検の4項目
フォークリフトの始業点検チェックリストを第151条の25の4項目から組み立てると、法令が求める範囲の漏れを防ぎやすくなります。以下のポイントを押さえ、条文の言葉をそのまま点検表の大項目に置ける状態を目指しましょう。
労働安全衛生規則 第151条の25は、事業者がフォークリフトを用いて作業を行うとき、その日の作業を開始する前に4つの事項を点検するよう定めています(※1)。条文の文言と、点検表に落とす確認の例は次のとおりです。
| 号 | 条文の点検事項 | 点検表に落とす確認の例 |
|---|---|---|
| 第1号 | 制動装置及び操縦装置の機能 | ブレーキペダルと駐車ブレーキの効き、ハンドルのがたや重さを確かめる |
| 第2号 | 荷役装置及び油圧装置の機能 | リフトとティルトの作動、フォークやチェーンの損傷、油漏れを確かめる |
| 第3号 | 車輪の異常の有無 | タイヤの摩耗や亀裂、空気圧、ホイールナットの緩みを確かめる |
| 第4号 | 前照燈、後照燈、方向指示器及び警報装置の機能 | ライトの点灯、方向指示器の点滅、ホーンや後退警報の鳴動を確かめる |
第151条の25は「機能」と「異常の有無」を確かめるよう求めていますが、確認の方法までは定めていません。確認の例の欄は、車両の取扱説明書に合わせて事業場ごとに決めます。
第151条の25のほかにフォークリフトに関わる条文は、作業計画や制限速度など多岐にわたります。関係する条文の全体は、フォークリフトに関わる労働安全衛生規則と関係法令の全体像で一覧にしています。
フォークリフトの始業点検チェックリストに上乗せするメーカーの確認項目
フォークリフトの始業点検チェックリストにメーカーや販売店の点検手順を上乗せすると、法定4項目の「機能」を具体的な確認の動作に置き換えやすくなります。以下のポイントを押さえ、エンジン式とバッテリー式の違いを含めて項目を選べる状態を目指しましょう。
法定4項目に上乗せして点検表に加えることが多い項目は、次のとおりです。
- エンジン式:エンジンルームの点検を加える。確認する箇所は取扱説明書に従う
- バッテリー式:充電器とプラグの損傷、バッテリー液の量を確かめる
- 共通:ヘッドガードとバックレストの変形、運転席の足元の状態を確かめる
上乗せの項目は、法定4項目と行を分けて書くと、法令の範囲と社内の範囲を区別できます。項目を増やしすぎると点検に時間がかかり、記入の省略が起きやすくなります。車種ごとに取扱説明書を確かめ、実際に見る箇所だけを残しましょう。
フォークリフトの災害の減少と始業点検チェックリストの位置づけ
フォークリフトの始業点検チェックリストを災害統計とあわせて見ると、点検を続ける意味を現場に説明しやすくなります。以下のポイントを押さえ、改善している指標も含めて運転者に伝えられる状態を目指しましょう。
一般社団法人日本産業車両協会の集計では、フォークリフトに起因する労働災害は2024年に死亡災害と死傷災害がともに2年連続で減少し、死亡災害は20件を下回りました(※2)。
災害の減少には複数の要因があり、始業点検だけの効果とは言えません。ただし、ブレーキや警報装置の不具合を作業前に見つける始業点検は、災害を防ぐ対策の土台の1つと考えられます。減っている数字を共有すると、点検が形だけの作業ではないことを運転者に伝えやすくなります。
(※1)出典:安全衛生情報センター「労働安全衛生規則 第2編 第1章の2 荷役運搬機械等」
(※2)出典:一般社団法人日本産業車両協会「フォークリフトに起因する労働災害の発生状況」(2025年7月4日)
フォークリフト始業点検チェックリストを使う始業前点検のやり方(3つの手順)
フォークリフトの始業点検チェックリストは、外まわり、運転席、作動確認の3段階で上から順に使い、エンジンをかける前に見る項目と、動かして確かめる項目を分けると確認の漏れを防げます。
販売店のトヨタL&F近畿株式会社が示す作業開始前点検の手順も、点検前の安全確保、外まわり、エンジンルーム、車上、充電器(バッテリー車のみ)の5段階で、動かす前の確認から始まります(※3)。本記事では、次の3つの手順にまとめます。
- 手順1:フォークリフトの外まわりを始業点検チェックリストで確かめる
- 手順2:運転席で始業点検チェックリストのペダルとレバーの欄を確かめる
- 手順3:フォークリフトを動かして始業点検チェックリストの作動の欄を確かめる
3つの手順を順に読み、点検表の並び順を現場の動きに合わせましょう。
各手順で確認した箇所は、指差呼称(対象を指で差し、名称と状態を声に出して確かめる方法)と組み合わせると、見たつもりの確認を減らせると言われています。指差呼称で唱える言葉は、点検表の項目名とそろえておきます。
手順1:フォークリフトの外まわりを始業点検チェックリストで確かめる
フォークリフトの始業点検チェックリストの最初に外まわりの欄を置くと、車両を動かす前に油漏れやタイヤの損傷を見つけやすくなります。以下のポイントを押さえ、車両の周りを一周するだけで外まわりの欄を記入できる状態を目指しましょう。
外まわりで確かめる項目は、次のとおりです。
- 車両の下に油や水が漏れた跡がないかを見る
- タイヤの摩耗や亀裂、ホイールナットの緩みを見る
- フォーク、リフトチェーン、マストに損傷や変形がないかを見る
- ヘッドガードとバックレストに変形がないかを見る
- バッテリー車は、充電器とプラグに損傷がないかを見る
外まわりの点検は、車両を平らな場所に止め、フォークを床まで下ろし、駐車ブレーキをかけた状態で行います。前日の終業時に止めた場所の床を見ると、夜の間に漏れた油の跡に気づきやすくなります。
手順2:運転席で始業点検チェックリストのペダルとレバーの欄を確かめる
フォークリフトの始業点検チェックリストで運転席の欄をまとめて確かめると、座ったまま操縦装置と灯火類の点検を終えられます。以下のポイントを押さえ、エンジンやモーターを起動してから走り出すまでの確認を一続きで行える状態を目指しましょう。
建設荷役車両安全技術協会滋賀県支部の講習資料は、毎日の始業点検で運転席の足元もよく点検するよう求めています(※2)。運転席で確かめる項目は、次のとおりです。
- 運転席の足元に、ペダルの操作を妨げる物がないかを見る
- ブレーキペダルとアクセルペダルの踏みしろと戻りを確かめる
- 駐車ブレーキレバーの引きしろと効きを確かめる
- ハンドルのがたと重さを確かめる
- 前照灯、後照灯、方向指示器、ホーンが作動するかを確かめる
シートベルトを備えた車両では、運転席の点検でベルトの損傷と留め具の作動も確かめます。ペダルの踏みしろの基準値は車種で異なるため、点検表には取扱説明書の値を書き写しておくと、運転者ごとの判断のずれを減らせます。
手順3:フォークリフトを動かして始業点検チェックリストの作動の欄を確かめる
フォークリフトの始業点検チェックリストの最後に作動確認の欄を置くと、止まっている状態では分からないブレーキや荷役装置の不具合を作業前に見つけやすくなります。以下のポイントを押さえ、周囲の安全を確かめたうえで短い距離の作動確認を行える状態を目指しましょう。
作動確認で確かめる項目は、次のとおりです。
- 低速で前進と後進を行い、ブレーキの効きと片効きを確かめる
- ハンドルを左右に切り、操舵に引っかかりがないかを確かめる
- フォークの上げ下げとマストの前傾・後傾を行い、異音や油漏れを確かめる
- 後進のときに警報装置が鳴るかを確かめる
一般社団法人日本産業車両協会が2025年7月に公表した資料では、フォークリフトに起因する死傷災害のうち「はさまれ・巻き込まれ」と「激突され」が合わせて62.7%を占めています(※1)。ブレーキと警報装置の作動確認は、周囲の作業者を守る確認でもあります。
作動確認で車両を動かす前に、周囲に歩行者がいないことを確かめます。誘導者を置く現場では、誘導者の立つ位置と合図を作業前に共有しておきます。誘導者が担う役割と合図の種類は、フォークリフト誘導者の役割と合図の種類で解説しています。
(※1)出典:一般社団法人日本産業車両協会「フォークリフトに起因する労働災害の発生状況」(2025年7月4日)
(※2)出典:滋賀労働局掲載「フォークリフト安全講習会(安全運転の心得)」(公益社団法人建設荷役車両安全技術協会滋賀県支部)
(※3)出典:トヨタL&F近畿株式会社「フォークリフト作業開始前点検」
フォークリフト始業点検チェックリストの作り方と記入例(始業前点検表をエクセルで作る)
フォークリフトの始業点検チェックリストは、1台につき1か月1枚の様式にし、点検項目を行、日付を列に並べ、点検者と異常時の措置を書く欄を設けると、エクセルでも紙でも同じ形で運用できます。
始業前点検表をエクセルで作るときは、記入欄の決め方、1か月の様式、現場への置き方の3点を次の順で押さえます。
- フォークリフトの始業点検チェックリストに設ける欄と記入例
- エクセルで作るフォークリフト始業点検チェックリストの1か月様式
- フォークリフトの始業点検チェックリストを使う瞬間に目の前へ出す置き方
欄の決め方から読むと、エクセルの様式を作る手順がそのまま決まります。
フォークリフトの始業点検チェックリストに設ける欄と記入例
フォークリフトの始業点検チェックリストの欄を定期自主検査の記録事項にそろえると、毎日の点検と月次点検の記録をつなげて読めるようになります。以下のポイントを押さえ、異常が見つかった日の対応まで1枚で追える状態を目指しましょう。
労働安全衛生規則 第151条の23は、定期自主検査の記録事項を検査年月日、検査方法、検査箇所、検査の結果、実施者の氏名、補修等の措置の内容の6項目と定めています(※1)。この6項目を手本にした欄と記入例は、次のとおりです。
| 欄 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 車両 | 車両番号、型式、動力の種類を書く | 2号車、バッテリー式 |
| 点検日と点検者 | 点検した日付と点検者の氏名を書く | 日付の列に点検者の氏名を書く |
| 点検の結果 | 項目ごとに記号で書く | ○は良好、×は異常、△は調整して良好 |
| 異常の内容 | 異常の箇所と状態を書く | 右前輪のタイヤに亀裂 |
| 措置と確認者 | 使用中止、報告先、補修日と確認者を書く | 使用中止、班長へ報告、翌日に補修済み、班長が確認 |
記号の意味は、点検表の上部に凡例として書いておきます。△を使う場合は、調整した内容を異常の内容の欄に残すと、同じ箇所の不具合が続いていることに気づきやすくなります。
エクセルで作るフォークリフト始業点検チェックリストの1か月様式
フォークリフトの始業点検チェックリストをエクセルの1か月様式にすると、1台の点検の記録を月ごとに1枚で見渡せるようになります。以下の手順を押さえ、印刷してもPDFにしても同じ形で使える状態を目指しましょう。
エクセルで1か月様式を作る手順は、次のとおりです。
- A列に法定4項目を大項目として並べ、その下に確認の例を小項目として並べる
- B列から右に1日から31日までの列を作る
- 入力規則で、結果の欄に○、×、△だけを選べるようにする
- ×が入ると色が変わる条件付き書式を設定する
- 下段に異常の内容、措置、確認者の欄を設ける
- A4横1枚に収まるように印刷範囲を設定する
エクセルの様式は、車両の動力ごとにシートを分けると、バッテリー車だけの項目を混ぜずに済みます。紙で運用する場合も、月初に1か月分を印刷して車両ごとに配れば、記入の形はエクセルと変わりません。
フォークリフトの始業点検チェックリストを使う瞬間に目の前へ出す置き方
フォークリフトの始業点検チェックリストを車両や鍵の保管場所に置くと、点検の順番を覚えていない運転者でも同じ確認を再現しやすくなります。以下のポイントを押さえ、点検表を事務所にしまい込まず、作業の直前に手に取れる状態を目指しましょう。
筆者の藤崎 遊は、AIに記事を書かせる際、AIがもっともらしく生成した文章に実際には無い経歴まで書かれる危険に気づき、自分の体験を台帳にして毎回参照させる方式に切り替えました。便利さより、後から検証できることを優先すべきだと考えたためです。
人の記憶に頼らず、使う瞬間に手順が目の前に出る形にする考え方は、始業点検にも当てはまります。点検表を置く場所の例は、次のとおりです。
- 車両ごとのホルダーに、当月の点検表を差しておく
- 鍵を受け渡すときに、点検表の記入を確かめる
- 月末に点検表を回収し、×が付いた行を管理者が確かめる
点検表を作業の流れに組み込むには、社内の安全作業マニュアルのどこで点検するかも決めておきます。現場で使うマニュアルの選び方と活用のコツは、フォークリフトの安全作業マニュアルの選び方と活用のコツで解説しています。
(※1)出典:安全衛生情報センター「労働安全衛生規則 第2編 第1章の2 荷役運搬機械等」
フォークリフト始業点検チェックリストの実施者と記録の保存期間
フォークリフトの始業点検チェックリストを使う点検の義務は事業者にあり、実施者は事業者が決めます。始業点検の記録には法定の保存期間がないため、保存期間は社内で決めます。
実施者と保存期間は、点検の種類ごとに法令の定めが異なります。ここでは次の2点を扱います。
- フォークリフトの始業点検を行う人と資格の要否
- フォークリフトの始業点検チェックリストの保存期間の決め方
実施者を先に決めると、保存の責任者も同じ流れで決まります。
フォークリフトの始業点検を行う人と資格の要否
フォークリフトの始業点検チェックリストを誰が記入するかを先に決めておくと、交代制の現場でも点検の抜けた日を防ぎやすくなります。以下のポイントを押さえ、点検の種類ごとに実施者を説明できる状態を目指しましょう。
点検の種類ごとの義務者と実施者の要件は、次のとおりです(※1)(※2)。
| 点検の種類 | 義務者と根拠 | 実施者の要件 |
|---|---|---|
| 始業点検 | 事業者(労働安全衛生規則 第151条の25) | 条文に資格の定めはない |
| 月次点検 | 事業者(労働安全衛生規則 第151条の22) | 条文に資格の定めはない |
| 年次点検(特定自主検査) | 事業者(労働安全衛生法 第45条第2項) | 資格を有する労働者または検査業者が実施する |
労働安全衛生法 第45条第2項は、特定自主検査を資格を有する者か検査業者に実施させるよう定めています。始業点検には資格の定めがありませんが、手順3の作動確認で車両を動かすため、点検者はその車両の運転資格を持つ人にします。運転者に始業点検を任せる現場が多いと言われています。
フォークリフトの始業点検チェックリストの保存期間の決め方
フォークリフトの始業点検チェックリストの保存期間を社内の規程で決めておくと、事故の後に点検の実施を示しやすくなります。以下のポイントを押さえ、法定の保存義務と社内の保存期間を分けて説明できる状態を目指しましょう。
労働安全衛生規則 第151条の23が記録と3年間の保存を求めるのは、第151条の21と第151条の22の定期自主検査です(※1)。第151条の25の始業点検は、第151条の23の記録義務の対象に含まれていません。保存期間を決めるときの考え方は、次のとおりです。
- 月次点検と年次点検の記録と同じ3年に保存期間をそろえる
- ×が付いた点検表は、補修の記録とあわせて保存する
- エクセルで運用する場合は、月ごとにファイルを分け、PDFでも保存する
法定の保存義務がないことは、記録を残さなくてよいという意味ではありません。始業点検の記録がないと、事故の後に点検を行っていたかを説明できなくなります。保存期間は、月次点検の記録と同じ棚やフォルダで管理すると探しやすくなります。
(※1)出典:安全衛生情報センター「労働安全衛生規則 第2編 第1章の2 荷役運搬機械等」
(※2)出典:厚生労働省 法令等データベース「労働安全衛生法」
フォークリフト始業点検チェックリストで異常を見つけたときの対応(使用中止と補修)
フォークリフトの始業点検チェックリストに異常の印が付いたときは、その車両の使用を止めて管理者へ報告し、補修後の再点検で良好を確かめるまで作業に使いません。補修は事業者の義務です。
労働安全衛生規則 第151条の26は、始業点検で異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じるよう事業者に求めています(※1)。異常を見つけた後の流れは、次のとおりです。
- 運転者は車両を使わず、キーを抜いて管理者へ報告する
- 管理者は車両に使用禁止の表示を掛け、ほかの運転者が乗らないようにする
- 異常の内容と措置を、始業点検チェックリストの措置の欄に書く
- 販売店や整備の担当者に補修を依頼する
- 補修の後に同じ項目を再点検し、良好を確かめてから使用を再開する
使い続けてよいか迷う異常は、使用を止める判断を優先します。作業の遅れを理由に使用を続けると、補修の前に事故が起きるおそれがあります。
始業点検と補修を定める労働安全衛生規則の規定は、一般に労働安全衛生法 第20条にもとづく措置と解説されています。第20条の違反には、労働安全衛生法 第119条で6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が定められています(※2)。
フォークの摩耗や曲がりは、第151条の25第2号の荷役装置の確認で見る箇所の1つです。どの程度の摩耗で交換するかは、取扱説明書と特定自主検査の基準で確かめます。
使用禁止の表示や報告の流れは、現場の安全ルールとして文書にしておくと、運転者が替わっても同じ対応になります。停車時や構内で守るルールの決め方は、フォークリフトの安全ルールと違反を防ぐコツで解説しています。
(※1)出典:安全衛生情報センター「労働安全衛生規則 第2編 第1章の2 荷役運搬機械等」
(※2)出典:安全衛生情報センター「労働安全衛生法 第12章 罰則」
フォークリフト始業点検チェックリストと月次点検・年次点検(特定自主検査)の違い
フォークリフトの始業点検チェックリストは作業日ごとの点検で、月次点検は1か月以内ごと、年次点検は1年以内ごとの定期自主検査です。3つは根拠も記録の義務も異なり、どれかで他を代えられません。
3つの点検の根拠、頻度、記録の扱いは、次のとおりです(※1)。
| 点検の種類 | 根拠と頻度 | 記録 |
|---|---|---|
| 始業点検(作業開始前点検) | 労働安全衛生規則 第151条の25。その日の作業を開始する前に行う | 法定の記録義務はない |
| 月次点検(定期自主検査) | 労働安全衛生規則 第151条の22。1月を超えない期間ごとに1回行う | 3年間保存する |
| 年次点検(特定自主検査) | 労働安全衛生規則 第151条の21・第151条の24。1年を超えない期間ごとに1回行う | 3年間保存する |
労働安全衛生規則 第151条の22の月次点検は、制動装置、クラッチ、操縦装置、荷役装置、油圧装置に加え、ヘッドガードとバックレストの異常の有無も検査します。1か月を超えて使わなかった車両は、使用を再開するときに月次点検の事項を検査します。
年次点検の特定自主検査は、2026年1月1日から適用された特定自主検査基準(令和7年厚生労働省告示第321号)に沿って行います(※2)。特定自主検査の結果は記録簿に残し、3年間保存します。
年次点検を販売店や検査業者に依頼する費用は、車種、台数、補修の有無で変わります。見積もりを取るときは、検査料と補修費を分けて確かめます。
陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドラインは、陸運事業者だけでなく荷主等にも、所有するフォークリフトの定期自主検査を行うよう求めています(※3)。荷主の構内で自社のフォークリフトを使う場合は、どちらの事業者が点検と検査を行うかを契約の段階で決めておきます。
(※1)出典:安全衛生情報センター「労働安全衛生規則 第2編 第1章の2 荷役運搬機械等」
(※2)出典:厚生労働省「特定自主検査基準」(令和7年厚生労働省告示第321号)
(※3)出典:陸上貨物運送事業労働災害防止協会掲載「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」
フォークリフト始業点検チェックリストに関するよくある質問
フォークリフトの始業点検チェックリストについて、点検の義務、年次点検を怠った場合の罰則、バッテリー式の点検表の入手先、簡易版の可否、記録の保存期間、点検者の資格の7問に答えます。
フォークリフトの始業前点検は義務ですか?
フォークリフトの始業点検チェックリストで確かめる始業前点検は、労働安全衛生規則 第151条の25で事業者に義務づけられています。フォークリフトを用いて作業を行う日は、その日の作業を開始する前に、制動装置や操縦装置など4つの事項を点検します。点検表の様式は法令で決まっていないため、事業場ごとに作ります。
フォークリフトの点検は義務ですか?月次点検や年次点検も必要ですか?
フォークリフトの点検は、始業点検チェックリストを使う毎日の点検に加え、1か月以内ごとの月次点検と、1年以内ごとの年次点検(特定自主検査)も義務です。月次点検と年次点検は、記録を3年間保存します。年次点検は、資格を有する労働者か検査業者が行います。
フォークリフトの年次点検をしないとどうなりますか?
フォークリフトの年次点検は始業点検チェックリストでは代えられず、行わないと労働安全衛生法第45条の違反になります。第45条第1項・第2項の違反には、労働安全衛生法 第120条で50万円以下の罰金が定められています。検査の期限が近づいたら、販売店や検査業者へ早めに予約します。
バッテリー式フォークリフトの始業前点検表(PDF)はどこで手に入りますか?
バッテリー式フォークリフトの始業点検チェックリストは、メーカーや販売店が公開する始業前点検表のPDFや、車両の取扱説明書をもとに作れます。トヨタL&F近畿株式会社の作業開始前点検の手順では、バッテリー車だけに充電器の点検が加わります。法定4項目に、充電器とバッテリーの確認欄を足して使います。
簡易版の始業前点検チェックリストでも問題ありませんか?
簡易版のフォークリフト始業点検チェックリストでも、労働安全衛生規則第151条の25の4項目がすべて入っていれば、法令が求める事項を点検できます。項目を減らす場合は、メーカーの点検項目から削り、法定4項目は残します。新人には詳しい版で確認の動作を教えてから、簡易版に移る方法もあります。
フォークリフトの始業前点検の記録は何年保存すればよいですか?
フォークリフトの始業点検チェックリストには、法令で定められた保存期間がありません。労働安全衛生規則第151条の23が3年間の保存を求めるのは、月次点検と年次点検の記録です。始業点検の記録も、定期自主検査の記録とそろえて3年間保存すると管理しやすくなります。
フォークリフトの始業点検は運転者以外が行ってもよいですか?
フォークリフトの始業点検チェックリストを記入する人について、労働安全衛生規則第151条の25は資格を定めていません。ただし作動確認で車両を動かすため、作動確認はその車両の運転資格を持つ人が行います。運転資格のない人が外まわりを確かめる場合は、作動確認だけを有資格者に任せるよう役割を分けます。
フォークリフト始業点検チェックリストに関するまとめ
フォークリフトの始業点検チェックリストは、法定4項目を土台にメーカーの項目を上乗せし、毎日同じ順番で確認して、異常時は使用を止めて補修するまでを1枚で回せる形に作ります。
この記事の要点は、次のとおりです。
- 点検表には労働安全衛生規則第151条の25の4項目を必ず入れる
- 点検は外まわり、運転席、作動確認の3段階で同じ順番に行う
- 様式は1台1か月1枚とし、結果、異常の内容、措置、確認者の欄を設ける
- 異常を見つけたら使用を止め、補修と再点検が終わるまで使わない
- 始業点検は月次点検・年次点検の代わりにならず、3つとも行う
まずは今使っている点検表に法定4項目がそろっているかを確かめ、欠けている欄から足していきましょう。
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