ワインを楽しんでいる方の中には、本当に体に良いのか・どんな効果があるのかなどが気になっている方がいるかもしれません。
この記事では、赤ワインと白ワインの健康効果や美容効果、注意点を分かりやすく解説しています。動脈硬化予防や脳機能改善などの具体的な効能に加え、むくみ改善や美肌効果といった生活に役立つ情報も網羅しました。
さらに、保存方法や相性の良い食べ物から健康的に楽しむためのコツも紹介しています。
ワインをただの嗜好品としてだけでなく、健康や美容をサポートする手段として活用したい方にぴったりの内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
【豆知識】ワインは健康に良いとされているのか?
ワインは本当に健康に良いとされているのか、基本的なポイントを簡単に紹介します。
ワインの種類や特性を理解することが、健康的な飲み方につながるため、ぜひご覧ください。
- そもそもワインとはどのようなもの?栄養成分は?
- 赤ワインと白ワインの違いは?
- ワインはアルコール飲料の中では糖質量が控えめ
- フレンチ・パラドックスとは?
これらの視点を知ることで、ワインの健康効果についてより深く理解できるはずです。
そもそもワインとはどのようなもの?栄養成分は?
ワインは「果実を原料とする醸造酒」で、主にブドウを使用して作られます。ワインが登場するのは最も古い記録によると紀元前2000年頃であり、古くから親しまれてきたお酒です。
ワインの栄養成分として特に注目されるのが「ポリフェノール」です。この成分には抗酸化作用や抗炎症作用があり、血管を拡張させたり、老化を遅らせたりするだけでなく、動脈硬化や高血圧の防止、脳卒中リスクの低減などの効果が期待されています。このようなワインの効能から、「医者いらず」といわれることもあります。
赤ワインと白ワインの違いは?
赤ワインと白ワインの大きな違いは、ポリフェノール含有量とその特性にあります。
赤ワインには、白ワインよりも果皮や種子由来のポリフェノールが豊富に含まれています。一方、白ワインはポリフェノール量では劣るものの、分子が小さく体内で吸収されやすいという特長があります。
赤ワインは動脈硬化や美容などに効果が高いとされ、白ワインは消化吸収を助け、食中毒予防やむくみ改善に役立つと考えられています。
ワインはアルコール飲料の中では糖質量が控えめ
ワインはアルコール飲料の中でも糖質量が少ない飲み物として知られています。糖質がほぼゼロのウイスキーや焼酎に次ぐ低糖質であり、特に赤ワインは100mlあたり約1.5g、白ワインは約2gとされています。
これに対し、ビールや日本酒はそれぞれ3g以上の糖質を含むため、ワインは糖質制限を意識する人に適した選択肢と言えるでしょう。
ただし、甘口のデザートワインや貴腐ワインは糖分を多く含むため、選ぶ際に注意が必要です。適度な量であれば、糖質を抑えながら健康的に楽しめます。
フレンチ・パラドックスとは?
フレンチ・パラドックスとは、動物性脂肪を多く摂取するフランス人が心臓病による死亡率が非常に低い現象です。
本来、肉やバターなどの多量摂取は動脈硬化や心疾患のリスクを高めるとされますが、フランス人の場合は例外的です。その理由が、赤ワインに含まれるポリフェノールではないかといわれています。ポリフェノールは動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールの酸化を抑制する働きを持ちます。これが赤ワインが「健康に良い」とされる理由のひとつです。
赤ワインの4つの健康効果について
赤ワインには健康に寄与するさまざまな効果があるとされています。その中でも、特に注目される4つの健康効果を簡単にまとめました。これらを理解することで、赤ワインをより健康的に楽しむヒントが得られるでしょう。
- 動脈硬化の予防ができる
- 抗菌作用で胃がんの予防
- 脳機能の改善
- 血圧を下げる
これらの効果を意識しながら適量を摂取することで、健康的なライフスタイルに役立てられます。
動脈硬化の予防ができる
動脈硬化は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が酸化して血管内に蓄積し、血流を阻害することで発症するため、酸化を抑えることが動脈硬化予防の重要な対策です。
赤ワインに含まれるポリフェノールには強力な抗酸化作用があり、特にレスベラトロールが悪玉コレステロールの酸化を防ぐ働きを持っています。
つまり、フレンチ・パラドックスの背景にも、赤ワインのポリフェノールの効能があるのです。
抗菌作用で胃がんの予防
シラー種の赤ワインには、胃がんの一因とされるヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑える効果があるといわれています。赤ワインに含まれるポリフェノールには抗菌作用があり、この作用がピロリ菌の増殖を抑制する助けとなります。
古代から薬としても使われてきたワインの健康効果が、現代でも注目される理由のひとつといえるでしょう。
脳機能の改善
赤ワインに含まれるポリフェノールの一部は、脳機能の改善に寄与する可能性があるとされています。特にレスベラトロールは、神経細胞を保護し、記憶力の回復を助ける効果が期待されています。
近年の研究では、赤ワインを適量摂取することが、アルツハイマー病やパーキンソン病の発症リスクを低下させる可能性が示唆されています。
これらの疾患は、脳神経の炎症や酸化ストレスが要因とされていますが、赤ワインに含まれるポリフェノールがそのダメージを軽減する役割を果たすと考えられています。
血圧を下げる
赤ワインにはカリウムが豊富に含まれています。高血圧の主な原因の一つは塩分の過剰摂取ですが、カリウムには利尿作用があり、体内に蓄積した余分な塩分を排出する働きがあります。
そのため赤ワインを飲むと血圧の上昇が抑制され、血管を健康に保てる助けとなるでしょう。
白ワインの3つの健康効果について
白ワインには、赤ワインとは異なる健康効果がいくつかあります。以下に代表的な3つの健康効果を挙げます。
- 食中毒の予防ができる
- むくみの予防と改善になる
- 腸内環境を良くする
白ワイン特有の効果を理解すると、飲み方や選び方を工夫しながら健康的に楽しめるので、早速見ていきましょう。
食中毒の予防ができる
白ワインには、酒石酸やクエン酸、乳酸などの殺菌効果をもつ有機酸が含まれているため、食中毒予防に役立つとされています。特に、「生牡蠣を食べるときはシャブリ」というフレーズが示すように、食事中に白ワインを摂るとサルモネラ菌や大腸菌などの食中毒菌増殖を抑える効果が期待できるといわれています。
むくみの予防と改善になる
むくみの原因の一つは、塩分の過剰摂取によって体が水分を溜め込み、塩分濃度を保とうとすることです。そのため塩分を排出すればむくみの予防・改善が期待できます。
白ワインには、赤ワインほどではないものの塩分の排出を助けるカリウムが豊富に含まれているため、摂取すると体が水分を溜め込む必要がなくなり、むくみの改善につながります。
腸内環境を良くする
白ワインに含まれる有機酸は悪玉菌の働きを抑え、ビフィズス菌などの善玉菌を増やしてくれるとされています。
腸内環境が改善されれば、代謝が向上し、免疫力が上がり、肌トラブルや便通の改善効果も期待できるでしょう。
健康を意識した赤ワイン・白ワインの適量・効果的な飲み方とは?
赤ワインや白ワインを健康的に楽しむためには、適切な飲み方や量を知ることが重要です。以下に、健康を意識した飲み方に関するポイントを挙げます。
- 1日のワインの摂取量とは?
- 食事と一緒に摂取する
- 寝酒としては控えた方が良い
これらを意識すると、ワインの健康効果を最大限に引き出しながら飲み過ぎによるリスクを抑えられるので、確認していきましょう。
1日のワインの摂取量とは?
厚生労働省によると、純アルコールが以下の摂取量を超えると生活習慣病のリスクが高まるとされています。
【生活習慣病のリスクが高まる純アルコール摂取量】
- 男性:40g
- 女性:20g
ワイン1杯(120ml)に含まれる純アルコール量は約12gとされているため、ワインは1日約1杯半までが適切な量です。
食事と一緒に摂取する
ワインを健康的に楽しむためには、食事と一緒にゆっくりと摂取することをおすすめします。軽食であっても、ワインと合わせるとアルコールの吸収が緩やかになり、血中アルコール濃度の急激な上昇を防ぐといわれます。
なお、アルコール代謝を促進する卵や魚介類、大豆製品など、高タンパク質の食品をおつまみとするのもよいでしょう。
寝酒としては控えた方が良い
寝酒としてワインを飲むのは控えた方が良いとされています。特にお酒が弱い人が寝る直前にワインを飲むと、動悸を引き起こして寝付けなくなる場合があります。
一方でお酒に強い人でも、寝酒は睡眠の質を低下させることが知られています。寝る前にお酒を飲むと一時的にリラックス効果をもたらし、寝つきが良くなると感じられるかもしれませんが、以下のような悪影響が生じます。
【寝酒による悪影響】
- 寝ている間にトイレに行きたくなる
- いびきをかきやすくなる
- 深い眠りが困難となる
- アルコール依存症となる可能性がある
以上のようなリスクを回避して健康に過ごすためには、ワインに限らず寝酒は慎むべきでしょう。
赤ワイン・白ワインの健康上以外でのメリットは?
赤ワインや白ワインは、健康効果だけでなく、美容や生活の質向上にも寄与するメリットがあります。以下にその代表的なものを挙げます。
- 細胞の老化防止からの美容効果
- むくみ防止からのダイエット効果
これらのメリットを理解し、適切な量でワインを楽しむことで、健康的な生活とともに、美容やスタイル維持にも役立てられるでしょう。
細胞の老化防止からの美容効果
ワインに含まれるポリフェノールには強力な抗酸化作用があり、体内で活性酸素を除去することで、細胞の老化を防止する効果が期待されています。この効果により、シワやシミの予防、肌のハリと潤いを保つなど、美容面でのメリットが注目されています。
むくみ防止からのダイエット効果
赤ワインに含まれるポリフェノールの一種、ピセアタンノールには脂肪燃焼を促進し、脂肪細胞の蓄積を防ぐ働きがあります。また、ポリフェノールは血行を促進するため体を温める効果も期待されます。血流が改善されると代謝が向上し、脂肪が燃焼しやすい身体になるため、むくみの防止だけでなくダイエット効果も得られる可能性があります。
赤ワイン・白ワインの摂取による健康上のデメリット(注意する点)とは?
赤ワインや白ワインには健康効果が期待される一方で、摂取において注意すべきデメリットも存在します。以下に主な注意点を挙げます。
- 日本人は基本的にお酒に弱い人が多い
- アルコール依存症に注意
これらを意識することで、ワインを適切に楽しみながら健康リスクを最小限に抑えられるでしょう。
日本人は基本的にお酒に弱い人が多い
日本人はワインをはじめとした酒に含まれる有害物質「アセトアルデヒド」を分解する酵素「ALDH2」の働きが弱い人が多く、約4割が低活性または欠損しています。このため、飲酒後に顔が赤くなったり、二日酔いを引き起こしやすい体質です。
この特性はアジア人(モンゴロイド)に多く見られ、ヨーロッパ系やアフリカ系の人種ではほとんど見られないため、日本人には酒に弱い人が多いのです。ALDH2の働きが弱い人は少量の飲酒でも健康リスクが高まる可能性があるため、特に注意しなければなりません。
アルコール依存症に注意
米疾病管理予防センター(CDC)は、一週間に15杯以上、または一度に5杯以上の飲酒を「大量飲酒」と定義しています。これは、アルコール依存症が一晩で発症するものではなく、すべての依存症の始まりが適度な飲酒から始まることを示唆しています。先述の寝酒を例にあげると、徐々に寝付けなくなって飲酒量が増え、依存症になるといった具合です。
適度な飲酒をしている人でさえ、依存症になるリスクがあることを自覚しておくとよいでしょう。
赤ワイン、白ワインの健康上の効果や効能を知りたい方によくある質問
赤ワインや白ワインの健康効果について関心を持つ方から寄せられる、よくある質問をまとめました。以下のポイントを参考に、ワインをより健康的に楽しんでください。
- ワインの他にポリフェノールを多く含む食べ物や飲み物は?
- ワインの正しい保存方法とは?
- 健康的なワインの楽しみ方は?
- 美肌効果に良いワインと相性の良い食べ物は?
これらを知ることで、ワインの効果や効能をより効果的に引き出せます。
ワインの他にポリフェノールを多く含む食べ物や飲み物は?
ワイン以外にポリフェノールを多く含む食品や飲み物として、特にコーヒーや緑茶が挙げられます。コーヒーには「クロロゲン酸」、緑茶には「カテキン」といったポリフェノールが豊富に含まれ、それぞれ抗酸化作用を持つ成分として知られています。
これらは日本人にとって主なポリフェノール摂取源となっており、日常的な飲用によって体内で活性酸素を抑える働きが期待されています。コーヒーや緑茶以外では、以下の食品にポリフェノールが含まれています。
【ポリフェノールを含む食品の例】
- ブルーベリー
- ナス
- 大豆や大豆食品
- 紅茶
- タマネギ
- リンゴ
- カキ(果物)
- ソバ
- ショウガ
- ゴマ
- ゴボウ
ワインの正しい保存方法とは?
未開封のワインを適切に保存するためには、以下に示すいくつかの条件を満たす環境が必要です。
温度 | 10〜16℃ |
湿度 | 70〜75%程度 |
その他 | 暗い所振動がない所強い臭いがあるものから離す |
家庭でワインを保存する場合、温度や湿度などの変化がない場所を探すことが難しいため、冷蔵庫での保管が適しています。
また、ボトルを寝かせるか立てるかについては、以下のように意見が分かれているようです。
ボトルの角度 | メリットとデメリット |
寝かせる | 乾燥を防げるが、常温保存の場合蒸れたコルク臭が付着しやすい |
立てる | コルクが劣化してワインが酸化してしまうが、一定の湿度は保たれる |
もしワインセラーを持っている場合は、寝かせておくとよいでしょう。
健康的なワインの楽しみ方は?
健康的にワインを楽しむためには、休肝日を設けることが大切です。休肝日は、週に1日以上飲酒を控える日を設定することをいい、肝臓の負担を軽減し、肝機能を守る役割があります。毎日飲酒を続けると、アルコールに対する耐性がつき、飲酒量が増えやすくなりますが、休肝日を設けるとこのリスクを回避できます。
特に、ワインのようなアルコール度数がやや高い飲み物を楽しむ場合、週に2日以上連続して飲酒を控えると、肝臓を効果的に休ませられます。適量を守り、休肝日を取り入れることで、末永く健康的にワインを楽しめるでしょう。
美肌効果に良いワインと相性の良い食べ物は?
美肌効果を高めるために、ワインとベリー系の果物を組み合わせるのがおすすめです。ベリーにはポリフェノールが豊富に含まれ、抗酸化作用で肌の老化を防ぎます。
赤ワインでも白ワインでも相性が良く、特にワインにベリーを漬け込んで作るドリンクはお手軽です。ベリーは冷凍品を使っても良く、冷蔵庫で保存して翌日も美味しく楽しめます。
【まとめ】成分効果や効能を知り、より健康的にワインを楽しもう!
赤ワインや白ワインには、動脈硬化の予防や抗菌作用、脳機能の改善、血圧低下など、さまざまな健康効果があります。むくみ改善や腸内環境の整備、美容やダイエット効果といった付加的なメリットも注目されています。
しかし、日本人はお酒に弱い体質の人が多く、アルコール依存症への注意も必要です。健康的に楽しむためには、適量を守り、休肝日を設けるなどの工夫が重要です。ポリフェノール豊富な食品や、ワインとの相性が良い食べ物も活用し、バランスよく楽しむことを心がけましょう。