「期間工が気になるけど、あまりいい印象がないから、始めようかどうか迷っている」
「期間工はきついからやめとけって聞いたんだけど実際どうなんだろう?」
確かに期間工はきつい面もあり、無計画に働くと将来が不安定になる側面もあるでしょう。
しかし、期間工の経験を将来のキャリアに活かす方法を知っておけば、それほど身構えなくてもよくなります。
今回は、期間工にはどのようなデメリットがあり、それをどのように乗り越えていけばよいかを解説します。本記事が、期間工にマイナスなイメージを持ちすぎず、選択肢の一つとして検討できるような、前向きな気持ちになるための助けになれば幸いです。
※当記事では、控除される税金は考慮していません。あらかじめご了承ください。
目次
デメリットが気になる方にまずは期間工のご説明
期間工に興味はあるけれど、デメリットが気になるという方のために、まずは期間工の基本的な特徴を簡単にご紹介します。以下のポイントをご覧いただき、期間工の全体像を把握してください。
- 資格や学歴は問われない
- とにかく稼げる
- 家賃・光熱費が無料のところが多い
- 大手企業の正社員への道もある
- 世間からネガティブな印象を持たれる側面もある
期間工にはこのような特徴があり、特に未経験者でも挑戦しやすい点が魅力です。一方で、ネガティブな面が存在することも念頭に置いておきましょう。
資格や学歴は問われない
期間工は、資格や学歴が問われず、未経験者でも採用されやすい働き方です。18歳以上であれば多くの求人に応募できるため、社会人経験が浅い方や離職期間が長い方でも挑戦しやすいのが特徴です。一方で、50代以降になると、未経験者が大手企業で採用されるのは難しい場合もあります。
仕事内容は単純な製造作業が中心で、特別なスキルや知識は不要です。このため、期間工は新しい仕事を探している方にとってハードルが低く、短期間で収入を得る手段として魅力的といえるでしょう。
とにかく稼げる
期間工は「とにかく稼げる」点が大きな魅力です。月給30万円を超えるケースが多く、未経験者でも年収400万円以上が見込めます。これに加えて、入社祝金や慰労金といった特典が支給されることもあり、実際の収入はさらに増える可能性があります。
例として、トヨタ自動車と日産自動車の期間工求人の給与(目安、各種手当含む)を見てみましょう。
トヨタ自動車 | 日産自動車 | |
年収 | 4,980,000円 | 4,135,680円 |
日給 | 10,450円〜11,250円 | 9,600円 |
月収 | 296,710円〜319,420円 | 323,140円〜344,640円 |
参考:
トヨタの期間従業員募集!|正社員登用実績多数|充実した待遇で、生活も安心【自動車の製造業務】|ジョブハウスエージェント
【日産自動車株式会社】期間従業員募集/入社祝い金・満了慰労金支給<自動車部品の製造など>|ジョブハウスエージェント
また、節約次第では3~4年で1000万円以上の貯金を達成する人も少なくありません。短期間でまとまった資金を得たい方にとって、期間工は非常に効率的な選択肢といえます。
なぜ支出を抑えてたくさん貯金しやすいかについては次の見出しをご覧ください。
家賃・光熱費が無料のところが多い
期間工の多くは会社が用意する寮で生活します。たいていの場合、寮費や光熱費が無料で、生活費を大幅に節約できるのが特徴です。また、一般的に、寮内の洗濯機も無料で利用できます。一部の企業では、食事補助金が支給されるケースもあり、食費を含めた生活コストをさらに抑えられるでしょう。
このような生活環境のおかげで、働きながらしっかり貯金できるというわけです。
大手企業の正社員への道も
期間工を募集している大手企業では、期間工としての勤務態度が良好であり、職場からの推薦を受けた場合、正社員登用試験に挑戦できる制度を設けていることがあります。正社員登用の条件や試験内容は企業ごとに異なり、決して容易な道ではありませんが、努力次第で安定した雇用とキャリアアップを目指せるのが大きな魅力です。
特に大手企業では、正社員になると高待遇や充実した福利厚生が得られる可能性が高く、期間工から正社員を目指す道は夢のある選択肢といえます。
世間からネガティブな印象を持たれる側面も
期間工について調べると、「期間工 人生終わり」や「期間工 やめとけ」といったキーワードが目につくかもしれません。期間工という働き方に対してネガティブな印象を抱いている人が一定数いる理由としては、体力的な負担や雇用の不安定さ、単調な仕事への不満などが挙げられることが多いです。
しかし、こうしたイメージは必ずしもすべての期間工に当てはまるわけではありません。期間工の実情をよく理解し、目的意識を持って働けば、ネガティブな印象を払拭することも可能です。
「期間工の何が良くないところなの?」
「期間工のネガティブな側面を払拭するためにはどうしたらいい?」
これらについては後ほど述べていきますので、ぜひ読み進めてみてください。
期間工のデメリットは何か?主な理由を5つご紹介
期間工として働く上で、いくつかのデメリットを知っておくことは重要です。以下に、期間工の主なデメリットを5つ挙げました。自分にとっての課題を把握し、対策を考える際の参考にしてください。
- 身体がきつい
- つぶしがきかない
- 最長で2年11ヶ月しか働けない
- 歳を重ねると続けるのが難しくなる
- 期間工ループから抜け出せなくなる
これらの点を念頭に置き、期間工としての働き方を計画的に検討しましょう。
身体がきつい
期間工の仕事は、肉体的な負担が大きいと感じる人が多いです。配属先によりますが、基本的には立ち仕事や力仕事が中心で、一日が終わるとヘトヘトになることが一般的です。特に仕事に慣れるまでは、翌日までに疲れが取り切れないこともあります。
また、多くの工場では交替勤務が採用されており、夜勤を含むシフト制となります。さらに残業があり、長時間労働が体力に負担をかけることもあります。夏場は工場内が非常に暑くなり、サウナの中で延々と運動するようなものだという人もいるほどです。
以上のような環境が、期間工は体力的に厳しいと感じる原因となっています。
つぶしがきかない
期間工の仕事は、単純作業が中心であり、特別なスキルや専門知識を必要としないため、他業種への転職に活かせる経験を得にくい点がデメリットです。例えば、製造ラインでの部品組立や検査といった作業が多く、これらは誰でもできるように設計されています。そのため、仕事に慣れてきて楽さにあぐらをかき、期間工として働く期間が長くなるほど、キャリアに繋がるスキルを積む機会が少なく、将来の選択肢が狭まるリスクがあります。
最長で2年11ヶ月しか働けない
期間工として働ける期間は、労働基準法で最長2年11ヶ月と定められています。そのため、長期的に同じ企業で働き続けることはできません。再び同じ企業で契約するためには、半年間空ける必要があります。雇用の安定性を確保したい場合、期間満了後に次の仕事を探す必要があるため、計画的なキャリア設計が求められます。短期間で集中して働きたい人に期間工は適していますが、長期的な雇用を希望する場合には注意が必要です。
歳を重ねると続けるのが難しくなる
期間工は若い頃は働きやすい環境ですが、年齢を重ねると続けるのが難しくなります。体力的な負担が大きいことに加え、健康診断での条件が厳しくなるため、採用されにくくなる傾向があります。
また、期間工の仕事は体力が求められるため、年齢を重ねて体力が衰えると、業務をこなすのが難しくなるケースもあります。一生涯続ける仕事として考えるのではなく、短期間で目的を達成するための働き方として捉えるのが適切です。このため、若いうちに計画を立て、次のステップへ進む準備をするとよいでしょう。
期間工ループから抜け出せなくなる
期間工の仕事は特別なスキルを必要とせず、未経験でも始められる反面、スキルが身に付かないため、次のキャリアにつなげるのが難しいという側面があります。その結果、資格取得やスキルアップなどの行動を起こさない限り、再び期間工として働く事態に陥りやすくなります。
この「期間工ループ」を繰り返しているうちに、体力が衰え、年齢の壁により採用されなくなるケースもあります。こうした状況を避けるためには、働きながら目標を設定し、次のステップに進むための準備を進めることが重要です。何も得られないまま仕事が続けられなくなるリスクを回避しましょう。
期間工のデメリットは派遣雇用なら解消されるのか?
期間工として働く際のデメリットは、派遣雇用を選ぶことで解消されるのか、気になる方がいるかもしれません。以下に、同じ企業・業務内容で働くにあたって派遣雇用と比較した際のポイントを簡単にまとめました。
- 最長契約期間はほぼ同じ
- 給料は期間工に軍配
- 契約期間終了後のサポートは派遣が手厚い
派遣雇用には期間工と異なる利点がある一方で、契約期間や収入面での違いも存在します。自分の目的や働き方に合った選択肢を検討することが大切です。
最長契約期間はほぼ同じ
期間工の最長契約期間は2年11ヶ月と定められており、派遣社員の契約期間は3年が上限です。このため、契約期間の長さに関しては両者にほとんど差はありません。
ただし、派遣社員の場合、同じ企業で契約を継続するためには、3年経過後に別の部署への異動が必要となる点が特徴です。一方で、期間工は契約満了後に最低半年空ける必要があるため、再度同じ企業で働くには一定のブランクが発生します。
上限 | 期間を超えて働きたい場合の措置 | |
派遣社員 | 3年 | 同一職場の別部署への異動 |
期間工 | 2年11ヶ月 | 半年以上空ける |
いずれの働き方でも、長期的な雇用が保証されないため、次のステップを考慮しながら働くことが重要な点は変わらないでしょう。
給料は期間工に軍配
期間工と派遣社員を比較すると、給料面では期間工の方が有利です。期間工は企業と直接雇用契約を結ぶため、給料は企業から直接支払われます。一方、派遣社員は派遣会社を通じて給与が支払われるため、派遣会社が手数料を差し引く分だけ収入が少なくなりがちです。
また、期間工には入社祝い金や満了慰労金、皆勤手当などの手当が支給されるケースが多いため、収入は派遣社員よりも多くなるでしょう。
雇用形態の違い | 手当 | |
派遣社員 | 派遣 | 会社規則による |
期間工 | 直接雇用 | 入社祝金・満了慰労金・皆勤手当など、会社規則による |
以上の点から、稼ぎを重視するなら期間工がより適した選択といえます。
契約期間終了後のサポートは派遣が手厚い
派遣雇用の場合、契約期間が終了しても、派遣会社が次の職場を探してくれるため、自分で次の仕事を探す手間が省けるのが大きなメリットです。また、次の派遣先の目星をつけた状態で現在の派遣先を辞めることもでき、職場の移行がスムーズに進みやすい仕組みになっています。
一方、派遣会社を通さず期間工として働いている場合は、このようなサポートは受けられず、自身でキャリアプランを設計し、実行していく必要があります。
期間工のデメリットは今後の人生目標を決めると解決できる
期間工として働く際のデメリットも、将来の目標を明確に設定することで解決策が見えてきます。以下のポイントを参考に、人生設計を具体化してみましょう。
- 資格を取る
- フリーランスへの準備
- 正社員登用試験を受ける
- 目標貯金額を決める
- 副業を始める
これらの目標を設定すると期間工としての時間を有意義に活用し、次のキャリアステップへつなげられます。期間工ループに陥らず、長期的な視点で稼いでいきたいという方は、ぜひチェックしてみてください。
資格を取る
期間工として働きながら、休日や空き時間を活用して資格取得に向けた勉強を進めることは、将来への大きな投資となります。特に、以下のような資格がおすすめです。
【期間工におすすめの資格(例)】
- フォークリフト運転技能講習修了証
- クレーン・デリック運転士
- 電気工事士
- 危険物取扱者
- 登録販売者
- 社労士
- 宅建士
期間工で得たお金をスキルアップに充てれば次のキャリアにスムーズに進める可能性が広がります。
フリーランスへの準備
期間工は効率よく稼げるため、フリーランスとして独立する資金を貯める手段としても有効です。
契約終了まで働けた場合は自己都合退職ではないため、失業保険を待機期間なく受け取れます。受給期間にスキルアップのための時間に充てるなど、計画的に行動することが重要です。具体的に取り組みたい事業や目標が決まっている方は、体力的に厳しく、ルーティンワークの繰り返しだった期間工としての経験をエネルギーに変えて、稼いだお金を元手に準備を進めてみるのも一つの手段です。
正社員登用試験を受ける
期間工として働いた後は、企業によっては正社員登用の道が用意されています。一定期間の勤務後に採用試験を受けて合格すれば、そのまま正社員として働くことが可能です。
以下に正社員に登用されるための一般的な条件をまとめました。
通過するべき試験 | ・国語や数学などの筆記試験 ※実技試験がある場合も ・面接 |
その他主に必要なこと | ・勤務態度や勤務成績で好評を受けている(無断欠勤・無断遅刻なし、主体的に取り組むなど) ・現場の上司から推薦を受ける |
期間工を募集している大手企業で正社員になれば、安定した雇用や充実した福利厚生を手に入れるチャンスが広がります。正社員登用試験は学科や面接が中心で、勤務成績や上司からの推薦も重要な評価ポイントです。期間工からキャリアアップを目指す選択肢は、将来を見据えた有効な手段といえます。
目標貯金額を決める
やりたいことが具体的に見つからない場合でも、将来に備えて貯金をするのは賢明な選択です。その際、目標貯金額を明確に設定することで、日々のモチベーションを維持しやすくなります。さらに、目標を細分化し、具体的なアクションプランを作成すれば、ゲーム感覚で楽しみながら貯金に取り組めるでしょう。
こうしてまとまった資金を貯めると、やりたいことが見つかった時にすぐ行動に移せるだけでなく、予期せぬ事態にも対応できる安心感をもたらします。
副業を始める
期間工の仕事はいつまでも続けられるわけではないため、将来的な独立を視野に入れ、副業に取り組んで知識やスキルを広げておくのは有効な選択肢です。
期間工の最長契約期間である2年11ヶ月を満了した後、副業を本業として独立する道を選ぶことも可能です。また、新たに別の会社で期間工をすることや、半年空けて元の会社に復帰し、その間に副業を本業レベルまで引き上げる努力をするのも一つの手段でしょう。
副業は将来の選択肢を広げるだけでなく、安定への備えにもつながります。
【まとめ】期間工のデメリットは、人生設計を立てると解消できる
期間工のデメリットには、身体的な負担やキャリアの不安定さなどがありますが、人生設計を立てることで多くの課題を解消できます。
期間工として働いている間から、次の仕事のための資格取得や正社員登用などの具体的な目標を設定し、計画的に行動すれば、短期間で効率よく働ける期間工は人生を再設計する良い機会となるでしょう。
もしかすると「期間工として働くなんて、人生終わってる」と思って後ろ向きになってしまうかもしれませんが、今からでも遅くないので今後のキャリアを思い描き、具体的な計画を立てて少しずつ実行に移していくと、前向きな気持ちになれるかもしれません。まずは最初の一歩を踏み出してみてください。