「慢性的なドライバー不足で配送が回らない」「採用コストをかけても人が定着しない」といった課題に、頭を悩ませている企業担当者様は少なくありません。しかし、いざ外部委託を検討しても、「ドライバー派遣」「配送代行」「運行管理請負」など似たサービスが多く、自社に最適な選択肢がわからず迷ってしまうことはないでしょうか。
もし、サービスの違いや契約形態(派遣・請負)を正しく理解せずに契約を進めると、意図せず「偽装請負」という法令違反を招いたり、ミスマッチにより無駄なコストが発生したりするリスクがあります。最悪の場合、万が一の事故発生時に適切な補償が受けられない事態にもなりかねません。
本記事では、企業の車両を運転するプロを手配する「ドライバー派遣サービス(運転手派遣・車両運行管理会社)」について、仕組みやメリット・デメリット、他サービスとの違いを体系的に解説します。
この記事でわかること
- ドライバー派遣サービスと「物流・配送代行」の決定的な違い
- 自社に最適なサービスが即座にわかる「30秒診断チャート」
- 「派遣契約」と「請負契約」の使い分けと法的リスク
- 失敗しないサービス会社の選び方と重要チェックポイント
この記事を読むことで、貴社の状況(車両の有無・頻度)に合致した最適なアウトソーシング形態を選定でき、コスト削減とコンプライアンス遵守の両立が可能になります。ぜひ最後までお読みください。
目次
ドライバー派遣サービス(運転手派遣・車両運行管理会社)とは?
ドライバー派遣サービス(運転手派遣・車両運行管理会社)とは、お客様が保有する車両(白ナンバー・緑ナンバー)の運転および管理業務を、専門のプロドライバーに委託するアウトソーシングサービスです。このサービスを活用すると、現在の車両資産を維持したまま、深刻化するドライバー不足の解消や、採用・教育にかかる労務管理コストの削減を実現できます。
ドライバー派遣サービスの具体的な内容
ドライバー派遣サービスが対応する業務の範囲は広く、単なる運転代行だけでなく、法的に義務付けられた運行管理業務までカバーします。
| 業務内容 | 具体例 |
| 役員車・送迎サービス | 社長や役員の専属運転手、VIP送迎、ゴルフ場送迎 |
| 営業車・公用車運転 | 営業担当者の同行運転、営業ルート対応 |
| トラック・配送車の運転 | 急な欠員補充、繁忙期の増員、配送ルート対応 |
| 送迎バス運行 | 社員送迎、顧客送迎、福祉施設の送迎 |
| 運行管理・安全管理 | ドライバーの健康管理、アルコールチェック、運行記録の管理 |
ドライバー派遣サービスを活用することで、お客様は「安定した運転手の確保」と「法令遵守(コンプライアンス)に基づく運行管理」の両面を外部委託できます。
サービスの仕組み:車両は「貴社」・運転手は「プロ」
本サービスの最大の特徴は、配送や送迎に必要な「車両」と「ドライバー」の調達元が異なる点にあります。物流・配送代行が「車と人をセット」で手配するのに対し、ドライバー派遣サービスは「貴社の車」を運転する点において明確に区別されます。
| 項目 | 調達・負担元 | 内容 |
| 車両・設備 | 貴社(依頼主) | トラック、役員車、バス、燃料費、駐車場代、任意保険料 など |
| 人材・管理 | 派遣サービス会社 | プロドライバー、給与・福利厚生、安全教育、労務管理、事故対応サポート など |
車両と人材の管理を切り分けることで、貴社は車両を資産として活用しつつ、煩雑な人の管理のみを外部へアウトソーシングできます。これにより、コア業務への集中が可能となります。
「運転手派遣」と「車両運行管理(請負)」の2つの契約形態
サービス名に「車両運行管理」が含まれるのは、一般的な「労働者派遣契約」だけでなく、業務を丸ごと委託する「請負契約(運行管理)」にも対応しているためです。この2つは「指揮命令権」の所在によって厳格に区別されます121212。
| 契約形態 | 指揮命令権(誰が指示するか) | 特徴 | 根拠法 |
| 労働者派遣契約 | 貴社(依頼主) | 当日の急なルート変更や細かい指示を、貴社から直接ドライバーへ出せます。柔軟な運用に適しています。 | 労働者派遣法 |
| 請負契約 (車両運行管理) | 派遣サービス会社 | 業務の指示や勤怠管理をすべて委託先が行います。送迎バスや定期ルート配送など、決まった業務の管理を一本化したい場合に適しています。 | 民法(請負) |
多くのドライバー派遣サービス会社は、これら双方の契約形態に対応しています。貴社の業務内容やコンプライアンス基準に合わせて、最適な契約プランを選択できます。
【重要】偽装請負に注意
請負契約の場合、貴社が個々のドライバーへ直接指示を出すと「偽装請負」となり、労働者派遣法違反のリスクがあります。契約形態を明確にし、指揮命令系統を適切に保つことが重要です。
ドライバー派遣サービスに必要な許可
ドライバー派遣サービスを提供する企業は、国から「労働者派遣事業許可番号(派xx-xxxxxx)」を取得する必要があります。
労働者派遣事業許可番号とは
厚生労働省の労働者派遣事業制度に基づき、適切な雇用管理・資産要件などの基準をすべて満たした事業者に対して交付される許可です。
- 許可番号の形式: 派xx-xxxxxx(「派」+2桁の都道府県番号+6桁の事業者番号)
- 確認方法:
- 厚生労働省の人材サービス総合サイトで検索可能
- 企業の公式サイトの「会社概要」ページで確認
- 派遣契約書で許可番号を確認
この許可番号がない企業は、法的には派遣会社ではなく、単なる求人媒体やブローカーに過ぎません。ドライバー派遣会社を選ぶ際は、必ずこの許可番号を確認してください。
運行管理に関する法的要件
車両運行管理を委託する場合、請負業者は国土交通省の運行管理基準に準拠した体制を整備する必要があります242424。
- 主な要件:
- 運行管理者の選任(車両40台ごとに1名以上)
- 運転者への適性診断・指導監督の実施
- 点呼・健康管理体制の確立
- 事故対応・緊急時の連絡体制の整備
これらの要件を満たす企業を選ぶことで、安全性とコンプライアンスが確保されます。
参考リンク(一次情報):
【比較一覧表】ドライバー派遣・配送代行・スポット配送の違い
ドライバー不足の解消や物流コストの削減を検討する際、最も重要なのは「自社の目的に合ったサービスを選ぶこと」です。以下の比較表で、3つの主要なサービスの違いを整理しました。
| 比較項目 | ①ドライバー派遣(運転手派遣・運行管理) | ②物流・配送代行(業務委託・軽貨物) | ③スポット配送・引越し(運送サービス) |
| 主な目的 | 「人(運転手)」を確保する | 「物流機能」を丸ごと任せる | 「荷物」を単発で運ぶ |
| 車両の調達 | 貴社(自社車両) ※白・緑ナンバー問わず | 委託業者 ※軽バンやトラックを持込 | 運送業者 ※トラック等を使用 |
| 指揮命令権 (指示出し) | 貴社(派遣契約時) ※直接指示が可能 | 業者 ※貴社からの直接指示はNG | 業者 ※運送依頼のみ可能 |
| 契約形態 | 労働者派遣契約 または 請負契約 | 業務委託契約 (貨物軽自動車運送事業など) | 運送契約 (標準貨物自動車運送約款) |
| 料金体系 | 時給・月極料金 (時間単価×稼働時間) | 個建て・車建て (1個〇円、1日〇円) | 運賃・距離制 (距離・重量・時間) |
| 適したシーン | ・社員ドライバーの欠員補充 ・役員車や送迎バスの運行 ・自社トラックの有効活用 | ・ECサイトの宅配業務 ・自社車両を持たない定期配送 ・物流部門のアウトソーシング | ・緊急の荷物配送 ・オフィスの移転・引越し ・単発のチャーター便 |
これら3つのサービスは、法律上も異なる許可体系で運営されています。
- ドライバー派遣: 労働者派遣事業許可(厚生労働省所管)
- 物流・配送代行(軽貨物): 貨物軽自動車運送事業の届出(国土交通省所管)
- スポット配送・引越し: 貨物自動車運送事業許可(国土交通省所管)
この違いを理解しておくことで、「その会社は本当に必要な許可を持っているか」を確認する際の判断基準になります。
「ドライバー派遣サービス」と「物流・配送代行(業務委託)」の違い
ドライバー派遣と配送代行の最大の違いは、「車両を誰が用意するか」と「ドライバーに直接指示ができるか」の2点です。
1. 車両の有無:自社車両があるなら「派遣」
ドライバー派遣サービスは、貴社が保有(またはリース)している車両をプロドライバーが運転します。一方、配送代行(軽貨物など)は、ドライバーが自身の車両を持ち込んで配送を行います。
自社でトラックや営業車を既に持っている場合は、車両資産を有効活用できるドライバー派遣がコスト面で有利になるケースが多くあります。
2. 指揮命令権と「偽装請負」のリスク
配送代行(業務委託)を利用する際、最も注意すべきなのが「指揮命令権」です。
業務委託契約(請負契約)において、発注者である貴社がドライバーに直接「このルートで走って」「次はここに行って」と細かい指示を出すことは、「偽装請負」として労働者派遣法違反となります。
- ドライバー派遣: 派遣契約であれば、貴社が指揮命令権を持つため、当日のルート変更や急な指示出しが可能です。
- 配送代行(委託): 指揮命令権は委託業者(または個人事業主本人)にあります。貴社は「荷物を運ぶ」という結果を要求できるのみで、プロセスの管理はできません。
「ドライバー派遣サービス」と「スポット配送・引越しサービス」の違い
この2つは、契約の目的が「労働力の提供(人)」か、「仕事の完成(荷物の移動)」かで明確に分かれます。
1. 目的の違い:「人」対「荷物」
- ドライバー派遣: 「運転する人手」を確保することが目的です。配送以外にも、洗車や点検、荷役作業(契約範囲内)などの付帯業務を依頼できる柔軟性があります。
- スポット配送・引越し: 「荷物をA地点からB地点へ移動させること」が目的です。ドライバーは運送のプロとして動きますが、貴社の社員のように雑務を頼むことはできません。
2. 責任範囲の違い(標準運送約款)
スポット配送や引越しは、国土交通省が定める「標準貨物自動車運送約款」に基づく運送契約となります。
これにより、荷物の破損や遅延に対する損害賠償責任は運送業者が負いますが、その範囲は「運送中」に限定されることが一般的です。
一方、ドライバー派遣の場合は、派遣会社との契約内容に基づき、車両事故や業務中の損害に対する補償範囲が個別に設定されます。
【依頼したい人向け】ドライバー派遣サービスのメリット
ドライバー派遣サービスを活用すると、自社でドライバーを雇用する場合と比較して、以下の5つの具体的なメリットが期待できます。特に「コスト削減」と「リスク管理」の観点において、経営効率を大きく向上させる手段となります。
- 資産の有効活用:既存の自社車両をそのまま稼働可能
- コスト削減:採用・教育・労務管理費を変動費化
- 柔軟性:繁忙期や欠員時のみのスポット利用
- 品質担保:研修を受けたプロによる接客・運行
- リスクヘッジ:事故対応や補償の手厚いサポート
自社の課題解決にどのメリットが直結するか、詳細を見ていきましょう。
自社の車両を活用できる
ドライバー派遣サービスは、貴社が保有・リースしている車両をそのまま活用できるため、新たな設備投資が不要です。
物流・配送代行(業務委託)の場合、業者の車両を使用するため割高になるケースがありますが、派遣サービスなら車両代がかかりません。白ナンバー(自家用)の営業車や送迎バスはもちろん、許可を得た派遣会社であれば緑ナンバー(事業用)のトラック運行にも対応可能です。これにより、遊休資産となっている車両を有効活用し、稼働率を最大化できます。
採用・教育・労務管理の手間暇・コストがゼロ
ドライバー派遣サービスを利用すると、採用難易度の高いドライバー確保にかかる膨大なコストと業務負担を削減できます。
自社雇用の場合、求人広告費、面接対応、社会保険手続き、安全教育研修など、見えないコストが多く発生します。派遣サービスなら、これらの業務はすべて派遣会社が負担します。
【自社雇用と派遣サービスのコスト比較】
| 項目 | 自社雇用(直接雇用) | ドライバー派遣サービス |
| 求人広告費 | 発生する(数万〜数十万円) | 0円 |
| 採用選考 | 面接・選考の手間がかかる | 0円(派遣会社が選定) |
| 教育・研修 | 自社で実施が必要 | 0円(派遣会社が実施済) |
| 社会保険・福利厚生 | 自社負担・加入手続きが必要 | 0円(派遣会社が負担・管理) |
| 退職リスク | 急な退職で穴が開くリスクあり | 代替スタッフの手配が可能 |
このように、固定費となりがちな人件費や管理コストを「アウトソーシング費用」として一本化でき、経営の透明性が高まります。
必要な時だけプロドライバーを確保できる
ドライバー派遣サービスは、繁忙期や急な欠員など、必要なタイミングに合わせて柔軟に人材を確保できます。
「来月だけ配送が増える」「正社員が怪我で2ヶ月休むことになった」といった場合でも、1日単位や期間限定のスポット契約が可能です。無駄な余剰人員を抱えることなく、業務量に応じた最適な人員配置を実現できます。これにより、固定費を変動費化し、損益分岐点を引き下げる効果が期待できます。
「自社の顔」としての質の高い接客が期待できる
ドライバー派遣サービス会社から派遣されるスタッフは、運転技術だけでなく接客マナーの研修を受けたプロフェッショナルです。
役員送迎や送迎バス、顧客への配送業務では、ドライバーの振る舞いがそのまま「貴社のブランドイメージ」に直結します。質の高い派遣会社では、守秘義務の徹底やビジネスマナー研修を実施しており、安心して「自社の顔」を任せられます。単に荷物を運ぶだけでなく、付加価値の高いサービス提供が可能になります。
国土交通省の運行管理基準でも、派遣元事業所には「ドライバーへの適性診断・指導監督」が義務付けられています。(出典:国土交通省「安全運行管理体制」)
事故時のリスクヘッジになる
万が一の交通事故やトラブルが発生した際、ドライバー派遣サービス会社が契約に基づき適切な対応を行うため、貴社のリスクを最小限に抑えられます。
自社雇用の場合、事故処理や示談交渉、当事者への対応など、多大な労力と精神的負担がかかります。多くの派遣サービス会社は、独自の保険加入や事故対応サポート体制を整えています。
【チェックすべきリスクヘッジ体制】
- 任意保険の適用範囲:対人・対物無制限など、十分な補償があるか
- 事故対応サポート:現場対応や相手方との折衝を代行・支援してくれるか
- 代替ドライバーの手配:事故によりドライバーが稼働できない場合のバックアップ体制
厚生労働省の労働者派遣法では、派遣元事業所に対して「派遣労働者の安全衛生管理」を義務付けています。(出典:厚生労働省「労働者派遣事業」)
契約前にこれらの補償内容を確認することで、安心して運行を任せることができます。
【依頼したい人向け】ドライバー派遣サービスのデメリット
ドライバー派遣サービス導入時に直面しやすい4つの課題と、その背景にある法的根拠は以下の通りです。
| デメリット項目 | 詳細・法的根拠 |
| 1. 指揮命令系統のリスク (偽装請負の可能性) | 派遣契約と請負契約の区別が曖昧だと「偽装請負」という違法状態になります。請負契約の場合、発注者がドライバーへ直接指示を出すことは禁止されています。 この点は厚生労働省:労働者派遣・請負を適正に行うためのガイドでも厳しく注意喚起されており、契約形態に合わせた適切な指揮命令体制の構築が必要です。 |
| 2. 時間単価の割高さ (コスト構造の違い) | 派遣料金にはドライバーの給与に加え、派遣会社の社会保険料や教育訓練費が含まれるため、直接雇用の時給より割高になります。日本人材派遣協会:派遣料金の仕組みによると、料金の約30%がこれらの諸経費です。 ただし、採用・教育コストが不要な点やスポット利用の柔軟性を考慮し、トータルコストで判断することが重要です。 |
| 3. 業務範囲の制限 (契約外業務の不可) | 契約書にない業務(例:配送契約者の倉庫作業や営業手伝い)を指示することは契約違反です。厚生労働省:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律に基づき、業務内容は厳格に管理されます。 契約外の業務が必要な場合は、事前の契約変更や請負への切り替えが必要です。 |
| 4. 車両保有が必須 (車両提供の不可) | 本サービスの大前提は「依頼主が車両を保有していること」です。労働者派遣法により、派遣会社は「労働力」のみを提供し、車両は提供できません。 車両がない場合は、国土交通省:貨物自動車運送事業の許可を持つ運送会社による「物流・配送代行」や「スポット配送」を利用する必要があります。 |
これらのデメリットは、契約前の確認や適切なサービス選定(車両がないなら配送代行を選ぶなど)によって回避・対策が可能です。
ドライバー派遣サービス会社選びで困った方へ!30秒診断チャートで最適な選択をしよう
最適な配送・運転サービスを選ぶための判断基準は、「車両の有無」と「依頼の継続性・目的」の2点に集約されます。以下のフローチャートを確認することで、貴社の状況に最も適したサービスが即座に分かります。
ドライバー派遣サービス診断チャート
START ▼ Q1. 配送や送迎に使用する「車両(トラック・営業車・バス等)」を、自社で保有(またはリース)していますか?
- NO(持っていない) ⇒ Q2へ
- YES(持っている) ⇒ Q3へ
──────────────────────── 【車両がない場合】
Q2. 今回依頼したい業務は、「単発(1回限り)」や「緊急(明日までに)」の案件ですか? (例:オフィスの引越し、緊急の部品配送、単発のイベント搬入など)
- YES(単発・緊急) ⇒ 【診断結果③】スポット配送・引越しサービス
- NO(長期的・定期的) ⇒ 【診断結果②】物流・配送代行(業務委託)
──────────────────────── 【車両がある場合】
Q3. その車両を使って、貴社の社員のように「直接指示」を出して動かしたいですか? (例:「今日はこのルートで回って」「急ぎでA社に向かって」など、柔軟に指示を出したい)
- YES(直接指示したい) ⇒ 【診断結果①】ドライバー派遣サービス
- NO(管理ごと任せたい) ⇒ ※請負契約(運行管理)または 【診断結果②】 を検討
このフローチャートの改善ポイント
- 「車両の有無」で最初に分岐(Q1)
- これが最も重要な物理的制約(ドライバー派遣の必須条件)であるため、最初に振り分けることで読者の無駄な検討時間を省きました。
- 「車両なし」層を期間で振り分け(Q2)
- 車両がない場合でも、「ECの定期配送(代行)」なのか「オフィスの引越し(スポット)」なのかで選ぶべき業者が異なるため、頻度と緊急性で明確に区別しました。
- 「車両あり」層に指揮命令権を確認(Q3)
- ここがプロの視点です。単に「車があるから派遣」とせず、「自分で指示を出したいか(派遣)」を確認することで、法的な適合性(偽装請負の防止)まで意識した高精度な診断が可能になります。
診断結果①「自社の車両を活用したい」ならドライバー派遣サービス
「車両はあるが、運転手が足りない」という企業には、ドライバー派遣サービス(運転手派遣・車両運行管理)が最適です。
- 適しているケース:
- 社用車(白ナンバー)やトラック(緑ナンバー)が既にある
- 社員ドライバーが退職・休職し、欠員を埋めたい
- 役員車や送迎バスの運行をプロに任せたい
- メリット:
- 車両資産を有効活用できるため、追加の設備投資が不要です。
- 自社で採用・教育するコストを削減し、即戦力のプロを確保できます。
- 確認すべき許可:
- 厚生労働省:労働者派遣事業許可(派xx-xxxxxx)
- ※運行管理請負の場合は、委託先の運行管理体制も確認が必要です。
このサービスは、貴社の指揮命令下で柔軟に動ける「人材」を確保するのに最も適しています。
診断結果②「車両がない」「配送を丸投げしたい」なら物流・配送代行
「車両がなく、配送業務を包括的にアウトソーシングしたい」という企業には、物流・配送代行(業務委託)が最適です。
- 適しているケース:
- ECサイトの配送業務を立ち上げたいが、トラックを持っていない
- 自社配送から撤退し、物流部門を廃止・縮小したい
- 車両の維持費(車検、駐車場、保険)を削減したい
- メリット:
- 車両とドライバーをセットで調達できるため、初期投資がゼロで済みます。
- 配送業務の管理(ルート作成やシフト管理)まで一括して委託可能です。
- 確認すべき許可:
- 国土交通省:貨物自動車運送事業許可(一般貨物)
- 国土交通省:貨物軽自動車運送事業届出(軽貨物・黒ナンバー)
ここでは「人材」ではなく「運送機能」を買う契約となるため、指揮命令権は業者側にあります。
診断結果③「今すぐ運びたい」「単発で依頼したい」ならスポット配送・引越しサービス
「今日中に荷物を届けたい」「オフィスの移転をしたい」という単発のニーズには、スポット配送や引越しサービスが最適です。
- 適しているケース:
- 今日中に部品を工場へ届けなければならない(緊急配送)
- オフィスのレイアウト変更や移転作業を行いたい
- 繁忙期で数日だけトラックが足りない
- メリット:
- 1回単位の契約で完結するため、固定費がかかりません。
- 荷物の搬出入や養生など、運送に付帯する作業もプロが行います。
- 適用されるルール:
- 国土交通省:標準貨物自動車運送約款
- ※運送中の荷物事故に対する補償(運送保険)が適用されます。
このケースでは「人」ではなく「荷物の移動」が目的となるため、ドライバー派遣とは契約の性質が大きく異なります。
ドライバー派遣サービス会社を選ぶ際のチェックポイント
ドライバー派遣サービス会社を選ぶ際は、Webサイトの印象や評判だけで決めるのではなく、「自社の条件に合うか」を順番に確認していくことが重要です。検討の後半で「エリア外だった」「トラックは非対応だった」と判明する手戻りを防ぐため、以下の優先順位でチェックを進めてください。
1. 対応エリア
まず最初に、貴社の拠点がドライバー派遣サービスの対象エリア内であるかを確認します。
多くの派遣会社は、拠点からスタッフが通勤可能な範囲(片道60~90分圏内など)を対応エリアとしています。全国対応の大手企業でも、地域によっては支店がなく対応できない場合があります。
- 確認方法:公式サイトの「対応エリア一覧」を見るか、問い合わせフォームで郵便番号を伝えて確認します。
2. 対応車種
次に、貴社が依頼したい車両の種類に、派遣会社が対応しているかを確認します。
「ドライバー派遣」といっても、すべての会社が大型トラックや特殊車両に対応しているわけではありません。役員車(ハイヤー)に特化した会社や、物流トラックに特化した会社など、得意分野が異なります。
| 車種区分 | 確認すべき免許・スキル |
| 役員車・公用車 | 普通二種免許、守秘義務教育、ビジネスマナー |
| 送迎バス | 大型二種免許、中型二種免許 |
| トラック(配送) | 大型免許、中型免許、フォークリフト技能講習 |
| 特殊車両 | クレーン、玉掛け、危険物取扱者など |
3. 許可番号
エリアと車種が合致したら、その会社が国から認可された正規の事業者であるかを、「労働者派遣事業許可番号」で確認します。
許可を得ていない「モグリ」の業者に依頼すると、労働者派遣法違反の共犯とみなされるリスクがあります。公式サイトの会社概要ページに派xx-xxxxxxという番号が記載されているか必ずチェックしてください。
- 一次情報での確認先:厚生労働省:人材サービス総合サイトで事業者名を検索し、許可の有無を確認できます。
4. 事故対応・保険加入状況
万が一の交通事故に備え、派遣会社が加入している損害保険の内容と事故対応フローを確認します。
自社の車両保険を使うのか、派遣会社の保険でカバーするのかは、契約ごとの取り決めによりますが、派遣会社側が手厚い補償体制を整えていることが望ましいです。
- 対人・対物賠償:無制限になっているか
- 車両保険:免責金額(自己負担額)はいくらか
- 事故対応:24時間365日の事故受付センターがあるか
5. 契約形態
貴社の運用スタイルに合わせて、「労働者派遣契約」と「請負契約(車両運行管理)」のどちらが適用されるかを確認します。
ドライバーに直接指示を出したい場合は「派遣契約」、管理ごと任せたい場合は「請負契約」を選びます。この区分が曖昧な会社は、コンプライアンス意識が低い可能性があるため注意が必要です。
6. ドライバーの質
会社としての体制が確認できたら、実際に派遣されるドライバーの品質管理体制をチェックします。
単に免許を持っているだけでなく、安全運転教育やマナー研修が実施されているかが重要です。
- 安全教育:適性診断、実車研修、事故惹起者への再教育プログラムなど
- 健康管理:定期健康診断、アルコールチェックの徹底体制
- 接遇教育:挨拶、身だしなみ、守秘義務の研修(特に役員車の場合)
7. サポート体制
契約後のトラブル防止のため、営業担当者のサポート体制やバックアップ体制を確認します。
ドライバー派遣サービスでは、「担当ドライバーが急病で休む」という事態が起こり得ます。その際に代わりのドライバー(代務員)を迅速に手配できる体制があるかは、業務を止めないための重要ポイントです。
- 代務員制度:欠勤時や有給休暇取得時に、代替ドライバーを派遣してくれるか
- 緊急連絡体制:早朝・深夜のトラブル時に連絡がつくか
8. 評判
最後に、既存顧客からの評判や実績を確認し、信頼性を裏付けます。
公式サイトの「導入事例」や「お客様の声」だけでなく、Googleマップの口コミや業界内での評判も参考にします。特に「長く契約している企業が多い」会社は、ドライバーの定着率が高く、サービス品質が安定している証拠です。
ドライバー派遣サービス料金の相場
ドライバー派遣サービスの料金は、一般的に「時間単価(または月額固定費)× 稼働時間」で算出されます。この料金には、ドライバーの給与だけでなく、社会保険料、有給休暇費用、交通費、教育訓練費、派遣会社の運営費が含まれています。
相場の目安としては、一般的な乗用車(役員車・営業車)の場合で時給2,000円~3,500円程度、大型トラックや特殊車両の場合は時給2,500円~4,000円程度が一般的です。ただし、依頼するエリア、車種、契約期間(スポットか長期か)、求められるスキル(語学力や介護資格など)によって料金は大きく変動します。
具体的な金額シミュレーションや、コストを抑えるためのポイントについては、[神奈川のドライバー派遣サービス料金相場]の詳細記事で解説しています。
ドライバー派遣サービスに関するよくある質問
「白ナンバー・緑ナンバー」の違いは?
最も大きな違いは、「その車を使って運賃(お金)をもらうかどうか」です。
- 緑ナンバー(営業用): 運送会社が他人の荷物を運び、その対価として運賃をもらうための車両です。国の許可が必要です。
- 白ナンバー(自家用): 一般企業が自社の商品や人を運ぶための車両です(例:営業車、自社製品を運ぶトラック、無料送迎バスなど)。
ドライバー派遣サービスは、どちらのナンバーの車両にも対応可能です。「白ナンバーだから頼めない」ということはありませんので、安心してご相談ください。
- 参考リンク:国土交通省:貨物自動車運送事業法の概要
業務委託のドライバーを手配してくれるドライバー派遣サービス会社はある?
はい、多くのドライバー派遣サービス会社は「業務委託(請負)契約」にも対応しています。 ただし、業務委託契約を結ぶ場合、貴社(依頼主)がドライバーに直接指揮命令を出すことは法律で禁止されています(偽装請負防止のため)。 「当日に細かい指示を出したい」場合は派遣契約、「管理ごと丸投げしたい」場合は業務委託契約と、目的に応じて使い分けるのが一般的です。
ドライバー派遣サービスに必要な許可は?
ドライバー派遣サービスを行う企業は、厚生労働省から「労働者派遣事業許可(派xx-xxxxxx)」を取得している必要があります。 この許可がない業者が労働者を派遣することは違法です。依頼前に必ず、派遣会社の公式サイト「会社概要」や、厚生労働省の検索サイトで許可番号を確認してください。
- 参考リンク:厚生労働省:人材サービス総合サイト
1日だけのドライバー派遣は違法?
原則として、ドライバー業務における「日雇い派遣(30日以内の契約)」は労働者派遣法で禁止されています。 ただし、以下の条件に当てはまる場合は例外として認められるケースがあります。
- 60歳以上のドライバーを派遣する場合
- 雇用保険の適用を受けない学生(昼間学生)の場合
- 世帯年収が500万円以上あり、生計の主たる維持者でない場合
また、「紹介予定派遣」や「業務委託(請負)」の形であれば、短期での依頼が可能な場合もあります。詳細は派遣会社へ個別に相談することをお勧めします。
- 参考リンク:厚生労働省:日雇派遣の原則禁止について
中小企業・零細企業でもドライバー派遣サービスは利用できる?
はい、問題なく利用できます。 むしろ、「専属のドライバーを雇うほどの業務量はない」「採用担当者を置く余裕がない」という中小・零細企業こそ、必要な時だけプロを呼べる派遣サービスのメリットを最大限に活かせます。車両が1台しかない場合でも依頼は可能です。
個人(一般家庭)でもドライバー派遣を依頼できる?
基本的には「法人契約」がメインですが、一部の会社では個人向けの「役員運転手(プライベート送迎)」や「通院送迎」に対応している場合があります。 ただし、個人への「労働者派遣」はハードルが高いため、多くの場合「請負契約(運行管理)」や「家事代行」の枠組みでサービスが提供されます。対応可否は会社によって大きく異なるため、事前に問い合わせが必要です。
ドライバー派遣サービス会社で働くのと運送会社に直接雇用されるの、どっちがいい?
「色々な車種に乗りたい」「サービス残業なしで働きたい」という方には派遣が向いています。一方で、「一つの会社で長く腰を据えたい」「ボーナスや退職金を重視したい」という方には直接雇用が向いています。 それぞれの働き方のメリット・デメリットや、具体的な求人情報の見方については、以下の記事で詳しく解説しています。
[内部リンク:ドライバー求人 神奈川]
目的に合わせて最適なドライバー派遣サービス会社を選ぼう
ドライバー派遣サービスは、自社車両を活用しながら人材不足を解消し、労務管理コストを変動費化できる有効な手段です。しかし、導入効果を最大化するためには、貴社の状況(車両の有無・指揮命令の必要性)に合致したサービスを選定することが重要です。
最後に、サービス選びの判断基準を改めて整理します。
- 「自社車両があり、柔軟に指示を出したい」
- → ドライバー派遣サービス(労働者派遣契約)が最適です。
- 「車両がなく、配送業務を丸ごと委託したい」
- → 物流・配送代行(業務委託)が最適です。
- 「単発で荷物を運びたい」
- → スポット配送・引越しサービス(運送契約)が最適です。
また、パートナー企業を選定する際は、コストだけでなく「コンプライアンス(許可番号の有無)」や「安全管理体制(事故対応・保険)」を必ず確認してください。適切な契約形態と信頼できる事業社を選ぶことが、貴社の配送業務の安定とリスクヘッジにつながります。

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