パートタイマー 雇用契約書 雛形|無料テンプレート・書き方、法律違反・労使トラブル防止まで

この記事は15分で読めます

パートタイマーを雇用する際、「雇用契約書は必須?」「どこで雛形を手に入れればいい?」と悩む経営者や人事担当者は少なくありません。法律に沿っていない契約書を作成してしまうと、後から労使トラブルに発展したり、労働基準監督署から指導を受けたりするリスクがあります。

このガイドでは、パートタイマー向けの雇用契約書を作成したいあなたが、法的リスクをゼロにして安心してパート採用を進められるよう、無料テンプレートの入手方法から、記載すべき必須項目、さらにトラブルを未然に防ぐための書き方まで徹底的に解説します。

この項目を読むと、法的な要件を満たした安心の雇用契約書を簡単に作成できるようになります。反対に、ここで解説する内容を把握しておかないと、法律違反による罰則や、従業員との不要なトラブルといった失敗をしやすくなるので、後悔しないよう次の項目から詳細を見ていきましょう。


目次

パートタイマー雇用契約書雛形の入手方法|無料テンプレート・ダウンロード先10選

パートタイマーの雇用契約書を作成する際、テンプレートを一から自作する必要はありません。厚生労働省や労働局が無料で公開している公式フォーマットや、社労士が監修した信頼性の高い雛形を活用することで、法的な要件を満たした契約書を効率的に作成できます。

このセクションでは、無料で利用できるテンプレートの入手先を種類別に紹介します。

  • 厚生労働省の公式フォーマット
  • 労働局・社労士監修のテンプレート
  • 電子契約サービス提供の雛形

これらのテンプレートを活用すると、時間やコストを削減できるだけでなく、法令遵守のリスクも軽減できます。反対に、信頼性の低いテンプレートを使ってしまうと、重要な記載項目が漏れてしまい、後々トラブルの原因となる可能性があります。後悔しないように、信頼できるテンプレートを選びましょう。

厚生労働省公式フォーマット

厚生労働省は、パートタイマーを含む短時間・有期雇用労働者向けの雇用契約書様式を無料で提供しています。このフォーマットは、法律で定められた必須事項が網羅されており、最も信頼性の高いテンプレートと言えます。

「厚生労働省が公表する雇用契約書様式は、短時間・有期雇用労働者向けのひな形として無料でダウンロード可能です。」

根拠URL:https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1d.html

PDFフォーマットの特徴

厚生労働省のPDF版テンプレートは入力フォーム付きではなく、印刷して手書きで記入する前提のサンプル様式です。パソコンでの直接入力を行いたい場合は、Word版をダウンロードして編集してください。

Word版ダウンロード手順

PDF版の他に、Word形式のテンプレートも用意されています。

Word版をダウンロードすれば、会社の状況に合わせて自由に加筆・修正することが可能です。ダウンロードは、厚生労働省の公式サイトから「短時間・有期雇用労働者の労働条件通知書・雇用契約書」のページに進み、「様式ダウンロード」から行うのが一般的です。


労働局・社労士監修テンプレート

各都道府県の労働局や、労務管理のプロである社会保険労務士(社労士)のウェブサイトでも、パートタイマー向けの雇用契約書テンプレートが無料で配布されています。

無料配布サイト一覧

多くの労働局や社労士事務所が、中小企業向けにテンプレートを公開しています。これらのテンプレートは、実務に即した内容になっており、特定の業種向けにカスタマイズされたものもあります。信頼できる配布サイトを見つけることで、自社の事業に合った雛形を効率的に探すことができます。

テンプレート名/提供元特徴/用途形式料金URLおすすめポイント
厚生労働省 公式フォーマット短時間・有期雇用労働者向けに特化した、法律の要件を網羅した基本形です。Word / PDF無料https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1d.html最も信頼性が高く、法令遵守を重視する企業に最適です。
各都道府県労働局 テンプレート地域の実情や特定の業種向けにカスタマイズされている場合があります。Word / PDF無料https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shozaiannai/roudoukyoku/index.html地元の企業での利用実績が多く、安心感があります。
社会保険労務士 監修テンプレート実務経験に基づいた詳細な条項や、トラブル防止の解説が充実しています。Word / PDF無料/有料サンプルテンプレート
※実例は「[社労士 雇用契約書 雛形]」などで検索してご参照ください
複雑な勤務形態や、より詳細なリスク管理を求める企業に。
電子契約サービス 連携テンプレート電子署名・タイムスタンプに対応しており、オンラインで契約が完結します。電子契約サービス上のフォーマットプランによる(無料プランあり)サンプルテンプレートペーパーレス化やリモートでの採用活動に非常に便利です。

有償テンプレートの選び方

有料のテンプレートは、より詳細な条項や、特殊な勤務形態に対応した内容が盛り込まれていることが特徴です。

無料テンプレートでは対応しきれない複雑な条件がある場合や、さらなる法的リスク回避を目指す場合は、有償テンプレートの利用も検討してみましょう。選ぶ際は、最新の法令に対応しているか、専門家が監修しているかを確認することが重要です。


電子契約サービス提供雛形

近年、雇用契約書の電子化が進んでいます。多くの電子契約サービスでは、無料で利用できるパート向けの雇用契約書テンプレートが提供されています。

クラウドサイン連携ひな形

GMOサインやクラウドサインなどの電子契約サービスは、プラットフォーム上で利用できるテンプレートを提供しています。これらのテンプレートは、電子署名やタイムスタンプの付与を前提に作成されており、スムーズに電子契約を進められるように設計されています。

電子署名対応フォーマット

電子署名に対応したフォーマットは、紙の契約書のように印刷・郵送・押印する手間を省き、契約締結までの時間を大幅に短縮できます。

オンラインで完結するため、テレワークで働くパートタイマーとの契約にも適しています。


必須!雇用契約書に記載すべき絶対的記載事項パート版

労働基準法第15条では、労働契約を締結する際に労働条件を明示する義務を定めており、特に重要な項目を絶対的明示事項と呼んでいます。パートタイマーの場合も、これらの事項を雇用契約書に漏れなく記載することが必須です。

このセクションでは、パート雇用契約書で絶対に記載すべき事項と、その書き方のポイントを解説します。

  • 労働時間、休憩、休日
  • 賃金額、支払方法、締日
  • 契約期間、更新条件
  • 就業場所、業務内容

これらの項目を正確に記載することで、後々の賃金計算や勤務形態に関する誤解を防ぎ、労使双方の認識を一致させることができます。反対に、あいまいな記載はトラブルの温床となり、労働基準監督署からの指導対象にもなりかねません。

引用:「労働基準法第15条で定める絶対的明示事項には、賃金、就業の場所及び業務の内容、始業・終業時刻が含まれます。」

根拠URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html”>https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html

労働時間・休憩・休日

パートタイマーの場合、労働時間や休憩、休日は個々の契約によって異なります。雇用契約書には、その内容を具体的に記載しなければなりません。

週所定労働時間の記載例

労働基準法では、週40時間、1日8時間を超える労働を原則禁止しています。パートタイマーの場合、この範囲内で週の所定労働時間を明確に記載します。

項目記載内容
所定労働時間週〇時間(月・火・水・木・金のうち週〇日、1日〇時間)
始業・終業時刻午前9時00分~午後3時00分

休憩時間と休日の設定方法

労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩が必須です。また、少なくとも毎週1回の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を付与する必要があります。


賃金額・支払方法・締日

賃金に関する事項は、特に従業員の関心が高い部分です。明瞭な記載を心がけましょう。

基本給・時給の明示例

パートタイマーの場合は、時給制が一般的です。時給額を明記し、昇給の有無や、その場合の評価方法についても記載しておくと、賃金に対する不満を未然に防げます。

支給日・振込先の記載ポイント

賃金の支払いは、月に1回以上、指定された日に支払う必要があります。

現金か口座振込かを明記し、振込の場合は振込先の金融機関名や口座番号を契約書に記載します。また、賃金の締め日も明確にしておきましょう。


契約期間・更新条件

パートタイマーは、契約期間が定められている有期雇用契約が一般的です。契約期間や更新の条件を明確に記載することで、無期転換ルールなどへの対応がスムーズになります。

有期契約期間の書き方

契約期間は、「〇年〇月〇日~〇年〇月〇日」のように具体的な日付を記載します。

労働契約法では、有期雇用契約の期間は原則として上限が3年、一部の専門職や満60歳以上の場合は5年と定められています。

更新要件と自動更新の明示

契約期間を更新する可能性がある場合は、その判断基準を具体的に記載します。

例えば、「契約期間満了時の業務量」「勤務成績、態度」「会社の経営状況」などを明記します。また、自動更新の有無も明確に示しましょう。


就業場所・業務内容

就業場所や業務内容は、雇用契約の根本的な部分であり、明確に記載することが不可欠です。

就業場所の明確化

複数の事業所がある場合は、入社後の勤務地を具体的に記載します。

将来的に転勤の可能性がある場合は、その旨を明記し、転勤の範囲についても記載しておくとよいでしょう。

職務範囲・業務内容の詳細記載

パートタイマーの業務内容は多岐にわたりますが、職務範囲を具体的に記述することで、担当業務外の指示によるトラブルを防げます。

例えば、「レジ業務、商品陳列、清掃」といったように、職務を具体的に記載しましょう。


パート契約書の書き方ポイント|契約期間・更新・解雇事由の記載例

雇用契約書は、労働条件の明確化だけでなく、労使間のトラブルを未然に防ぐための重要なツールでもあります。特に、契約期間の更新や解雇、退職といった項目は、従業員との認識のずれが起こりやすい部分です。

このセクションでは、トラブルを回避するために特に注意すべき記載のポイントを解説します。

  • 有期契約の期間設定と更新ルール
  • 試用期間の明示方法
  • 解雇事由/退職手続きの条項

これらの条項を正確に記載することで、法的なトラブルリスクを大幅に減らし、従業員との信頼関係を築くことができます。反対に、これらの項目が不明瞭だと、無期転換ルールの適用や不当解雇の主張など、大きな問題に発展する可能性があります。

引用:「短時間労働者の雇用契約書では、有期雇用契約の期間と更新条件を明確に記載することで、無期転換ルールへの対応が容易になります。」

根拠URL:https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1k.pdf”>https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1k.pdf

有期契約の期間設定と更新ルール

有期雇用契約では、契約期間や更新に関する事項を詳細に定めることが不可欠です。

契約開始・終了日の表記

契約期間は、「〇年〇月〇日~〇年〇月〇日」のように具体的な日付を記載します。

例えば、契約期間が1年の場合は、開始日と終了日を明記することで、双方が契約の終わりを認識しやすくなります。

更新手続きと通知時期

契約を更新する可能性がある場合、更新の判断基準だけでなく、更新手続きの方法や通知時期も記載します。

「契約満了日の〇ヶ月前までに、会社は従業員に更新の意向を通知する」といった具体的な文言を盛り込むと、トラブルを回避できます。


試用期間の明示方法

パートタイマーにも試用期間を設けることは可能ですが、その条件を明確にしなければなりません。

試用期間の長さと条件

試用期間の長さは任意ですが、長すぎると労働者の不利益となるため、一般的には3ヶ月〜6ヶ月程度とされます。

契約書には、試用期間中の賃金や、本採用の条件(例:勤務態度、能力、健康状態など)を記載しましょう。

試用期間中の解約条項

試用期間中の解雇は、本採用後よりも広く認められますが、客観的・合理的な理由が必要です。

契約書には、「試用期間中の解約は、会社が本採用を不適当と判断した場合に行う」といった条項を記載し、その判断基準を明確にしておくとよいでしょう。


解雇事由/退職手続きの条項

いざという時のトラブルを避けるため、退職や解雇に関する条項も詳細に記載します。

解雇事由の具体例

解雇事由は労働基準法で厳格に定められており、簡単に解雇できるわけではありません。

しかし、契約書に具体的な解雇事由(例:無断欠勤が〇日以上続いた場合、会社の機密情報を漏洩した場合など)を記載しておくことは、トラブル防止に役立ちます。

退職予告期間・手続き方法

従業員が退職する際の予告期間や手続きについても、明確に記載します。

例えば、「退職を希望する場合は、退職日の〇ヶ月前までに会社に書面で通知すること」といったルールを定めます。


同一労働同一賃金&社会保険対応|均等待遇記載例と注意点

2024年4月に施行された改正パートタイム・有期雇用労働法により、「同一労働同一賃金」の原則が強化されました。これにより、パートタイマーだからといって不合理な待遇差を設けることは認められません。

このセクションでは、同一労働同一賃金に対応した契約書の記載方法と、社会保険の加入要件について解説します。

  • 賃金・手当・賞与の均衡記載
  • 配置変更・職務範囲の明示
  • 社会保険・雇用保険の加入要件

これらの内容を適切に記載することで、法律を遵守できるだけでなく、従業員からの信頼も得られます。反対に、不合理な待遇差が発覚すると、損害賠償請求や行政指導のリスクが生じるため、注意が必要です。

引用:「2024年4月施行の同一労働同一賃金ガイドラインでは、『賃金』『手当』『教育訓練』などについて均衡待遇を求めています。」

根拠URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000234871.html”>https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000234871.html

賃金・手当・賞与の均衡記載

同じ業務内容で働く正社員とパートタイマーがいる場合、賃金や手当に不合理な差を設けることはできません。

同一業務における時給比較例

例えば、同じ業務に従事する正社員の時給が1,200円、パートタイマーの時給が1,000円だった場合、その差が業務内容や責任の範囲の違いによるものか、客観的・合理的な説明が必要です。

雇用契約書には、その根拠を記載するか、または差がないように設定することが望ましいでしょう。

手当の名称と支給基準

通勤手当や精勤手当など、パートタイマーに支給する手当についても、正社員と同様に支給基準を明確に記載します。

同じ業務をしているのに、正社員には支給され、パートタイマーには支給されないといった状況は、不合理な待遇差と見なされる可能性があります。


配置変更・職務範囲の明示

同一労働同一賃金の観点から、将来的な配置転換の可能性や、職務の範囲についても明確に記載しておくことが重要です。

配置転換時の条件

正社員に転勤や配置転換がある場合、パートタイマーも同じ業務に従事していても、転勤がない場合があります。この場合は、その理由(例:正社員は広域異動を前提としているなど)を客観的に説明できるようにしておく必要があります。

業務変更の手続きフロー

パートタイマーの業務内容や職務範囲が将来的に変更される可能性がある場合は、その手続きや条件をあらかじめ記載しておきましょう。

これにより、業務範囲をめぐるトラブルを回避できます。


社会保険・雇用保険の加入要件

一定の要件を満たすパートタイマーは、社会保険や雇用保険への加入が義務付けられています。

社会保険適用基準の記載

雇用契約書には、社会保険の加入対象となる労働時間や賃金の要件を記載します。

例えば、「週の所定労働時間が20時間以上であり、月額賃金が8.8万円以上の場合、社会保険の加入対象となります」といった具体的な文言を記載しましょう。

雇用保険被保険者資格の明示

雇用保険は、週20時間以上の労働で、31日以上の雇用見込みがある場合に加入義務が生じます。

これらの条件を雇用契約書に明記し、対象となるパートタイマーには確実に加入手続きを行う旨を記載しておきましょう。


労働条件通知書との違いと併用方法

雇用契約書とよく似た書類に「労働条件通知書」があります。どちらも労働条件を明示する書類ですが、法的な役割が異なります。

このセクションでは、両者の違いと、どのように活用すればよいかを解説します。

  • 法的役割の違い
  • 一体型(兼用書式)の活用

両者の違いを理解することで、法令遵守を徹底し、労務管理をよりスムーズに進められます。反対に、違いを理解しないまま書類を作成してしまうと、思わぬ法的リスクを招く可能性があります。

引用:「労働条件通知書は書面または電子での交付義務がありますが、雇用契約書は労働条件通知書の内容を内包する形で作成可能です。」

根拠URL:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/150312-1.pdf”>https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/150312-1.pdf

法的役割の違い

雇用契約書と労働条件通知書は、その目的が異なります。

雇用契約書 vs 労働条件通知書の法的位置付け

書類名法的役割交付の義務
雇用契約書使用者と労働者双方の合意を示す書類法律上の交付義務はない(民法上の契約)
労働条件通知書使用者から労働者への労働条件明示書類労働基準法第15条に基づく交付義務あり

雇用契約書は「契約書」であるため、双方が内容に合意したことを証明する書類です。

一方、労働条件通知書は、使用者から労働者へ一方的に労働条件を通知する書類で、交付が法律で義務付けられています。

両者の兼用でリスク軽減

雇用契約書を労働条件通知書の代わりとして使用することも可能です。

労働条件通知書に記載すべき事項をすべて雇用契約書に含め、双方の署名・捺印を求めることで、労働条件の明示と契約合意を同時に行え、書類の管理を効率化できます。


一体型(兼用書式)の活用

両方の書類を一つのフォーマットにまとめた「労働条件通知書兼雇用契約書」は、多くの企業で活用されています。

兼用フォーマットのメリット

兼用フォーマットを使用すると、書類作成の手間が省け、紛失や記入漏れのリスクを減らせます。

また、従業員にとっても、労働条件と契約内容が1枚の書類にまとまっているため、確認が容易になります。

併用時の注意点

兼用フォーマットを作成する際は、労働条件通知書の必須記載事項がすべて網羅されているか、そして双方が合意した証拠として署名欄が設けられているかを必ず確認しましょう。


雇用契約書の電子化・署名捺印|クラウドサイン活用手順

ペーパーレス化が進む現代において、雇用契約書も電子化が一般的になりつつあります。電子契約は、作成・保管・管理のコストを削減できるだけでなく、契約締結までのスピードも格段に上がります。

このセクションでは、電子契約の法的有効性と、導入手順を解説します。

  • 電子契約の法的有効性
  • 電子署名導入のステップ
  • よくあるQ&A

電子契約に移行することで、印紙代や郵送費、保管スペースといったコストを削減できます。反対に、法的要件を理解せずに電子契約を導入すると、後から契約の有効性を問われるリスクが生じるため、注意が必要です。

引用:「電子署名法第3条により、電子署名のある電磁的記録は“本人による署名”と推定され、書面署名と同等の効力を有します。」

根拠URL:https://www.e-gov.go.jp/elaws/gaiji/S69HO110.html”>https://www.e-gov.go.jp/elaws/gaiji/S69HO110.html

電子契約の法的有効性

電子契約は、電子署名法という法律によって、書面による契約と同等の法的効力が認められています。

電子署名法の要件

電子契約が法的に有効と認められるためには、電子署名法に定められた以下の要件を満たす必要があります。

要件詳細
本人性の証明署名者が本人であることを証明できること
非改ざん性の証明契約書が作成後に改ざんされていないことを証明できること

これらの要件を満たすことで、電子契約は法的に有効な契約として扱われます。

タイムスタンプの役割

タイムスタンプは、電子契約書がその時刻に存在し、それ以降改ざんされていないことを証明するものです。これにより、契約の真正性が確保され、法的証拠能力が高まります。


電子署名導入のステップ

電子契約サービスを利用すれば、誰でも簡単に電子署名を利用できます。

サービス選定とアカウント設定

まずは、自社のニーズに合った電子契約サービス(クラウドサイン、GMOサインなど)を選び、アカウントを登録します。

サービスによって料金体系や機能が異なるため、比較検討しましょう。

雛形アップロードと署名依頼

次に、作成した雇用契約書のテンプレートをサービスにアップロードします。

その後、従業員のメールアドレスを入力して署名を依頼すれば、従業員はメールから契約書の内容を確認し、オンライン上で署名が完了します。


よくあるQ&A

電子契約に関して、よくある質問とその回答をまとめました。

電子契約で署名捺印は不要?

電子署名法に則った電子契約であれば、手書きの署名や押印は不要です。

電子署名自体が、本人が合意したことを証明する役割を果たします。

合意証明の保管方法

電子契約サービスを利用すれば、署名済みの契約書は自動的にサービス上のクラウドサーバーに保管されます。

これにより、契約書の紛失リスクがなくなり、必要な時にいつでも内容を確認できるようになります。


労使トラブル防止の条項|解雇予告・試用期間・無期転換

雇用契約書は、労働条件を明確にするだけでなく、将来の労使トラブルを未然に防ぐためのリスクヘッジツールでもあります。特に、解雇や契約更新、無期転換といった項目は、法律に基づいた適切な対応が求められます。

このセクションでは、トラブル防止に役立つ重要な条項について解説します。

  • 解雇予告義務と条項例
  • 試用期間トラブルの回避ポイント
  • 無期転換規定の記載方法

これらの条項を正確に記載することで、法的なトラブルリスクを大幅に減らし、従業員との信頼関係を築くことができます。反対に、これらの項目が不明瞭だと、不当解雇や無期転換に関する訴訟リスクが高まるため、注意が必要です。

引用:「無期転換ルールでは、有期雇用が5年を超えると無期契約への転換申請権が生じます(改正労働契約法第18条)。」

根拠URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000557449.pdf”>https://www.mhlw.go.jp/content/000557449.pdf

解雇予告義務と条項例

従業員を解雇する場合、解雇予告義務が法律で定められています。

予告期間の法定基準

使用者は、従業員を解雇する場合、少なくとも30日以上前に予告しなければなりません。

この期間を確保できない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。契約書には、この法律の原則を記載しておきましょう。

即時解雇条項の注意点

従業員に重大な過失があった場合などは、労働基準監督署長の認定を受けることで即時解雇が認められる場合があります。

しかし、その要件は厳格なため、安易に「即時解雇」と記載するのではなく、具体的な事由を明記することが重要です。


試用期間トラブルの回避ポイント

試用期間は、従業員の適性を判断するための期間ですが、安易な解雇はトラブルのもとになります。

試用期間終了後の本採用手続き

試用期間が終了した後の本採用手続きを明確に記載しましょう。

「試用期間満了時に、本採用の可否を通知する」といった文言を契約書に盛り込み、口頭でのやり取りを避けることで、トラブルを防げます。

試用期間中の待遇確保

試用期間中も、労働基準法は適用されます。

賃金や労働時間、社会保険の加入義務など、法律で定められた基準は遵守しなければなりません。


無期転換規定の記載方法

有期雇用契約が通算5年を超えると、従業員は無期雇用契約への転換を申し込む権利を得ます。これが「無期転換ルール」です。

有期→無期転換要件

無期転換ルールでは、有期労働契約が通算5年を超えた「次の契約」の始期以降、労働者が申し出れば無期契約へ転換できる権利(無期転換申込権)が発生します(労働契約法18条)。

無期転換時の契約更新

無期転換が申し込まれた場合、どのような労働条件になるのかも記載しておくと、より安心です。

「無期転換後の労働条件は、現行の契約内容を準用する」といった内容を記載するとよいでしょう。


法改正対応&最新情報|2025年パート労働者関連改正ポイント

労働関連法は頻繁に改正が行われています。雇用契約書を常に最新の法令に準拠させることは、法的リスクを回避する上で非常に重要です。

このセクションでは、2025年施行のパート労働者に関連する主な法改正ポイントと、雇用契約書への反映方法について解説します。

  • 労働条件明示義務の追加項目
  • 社会保険・雇用保険加入要件の拡大
  • 電子帳簿保存法・電子署名法のアップデート

これらの改正点を把握し、早めに対応することで、法令違反による罰則や指導を未然に防ぎ、安心できる経営環境を築くことができます。反対に、法改正への対応が遅れると、思わぬ行政指導や法的トラブルに巻き込まれるリスクが高まります。<p>

引用:「改正労働施策総合推進法により、短時間労働者の健康確保措置が雇用契約書に明示義務化されます。」

根拠URL:https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_4.html”>https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_4.html

労働条件明示義務の追加項目

2024年4月1日の改正により、労働条件通知書(兼雇用契約書)に明示すべき項目が追加されました。

新規追加事項の解説

追加された項目具体的な内容
就業場所・業務の変更範囲雇用直後の就業場所や業務に加え、将来的な変更の可能性と範囲を明示
更新上限の有無と内容契約更新に上限を設ける場合、その内容と理由を明示
有期労働契約者の無期転換申込機会無期転換申込権が発生するタイミングを明示

既存契約書への反映方法

すでに雇用しているパートタイマーの契約書をすべて変更する必要はありませんが、2024年4月1日以降に雇用契約を締結・更新する場合は、これらの事項を追加しなければなりません。


社会保険・雇用保険加入要件の拡大

今後の法改正により、社会保険や雇用保険の加入対象となるパートタイマーの範囲が拡大される可能性があります。

拡大対象者の範囲

短時間労働者の社会保険適用が段階的に拡大されており、将来的には企業規模に関わらず、より多くのパートタイマーが対象となる見込みです。

雇用契約書には、これらの法改正に対応した最新の加入要件を記載しておくことが重要です。

契約書での通知例

雇用契約書に「健康保険・厚生年金保険・雇用保険は、法令の定める加入要件を満たした場合、被保険者資格を取得する」といった文言を記載しておくと、将来の法改正にもスムーズに対応できます。


電子帳簿保存法・電子署名法のアップデート

電子契約書の保管や有効性に関する法令も更新されています。

電子契約保管義務

電子帳簿保存法により、電子契約書は法令に沿った方法で保管する必要があります。

契約書の改ざん防止や、検索性を確保するための要件が定められています。

法令遵守のための措置

電子契約サービスの中には、これらの要件を満たした保管機能を提供しているものがあります。

電子契約の導入を検討する際は、これらの法令に対応しているサービスを選ぶようにしましょう。


Q&A:雇用契約書に関するよくある質問と相談窓口

ここでは、パートタイマーの雇用契約書に関して、中小企業の経営者や人事担当者からよく寄せられる質問にお答えします。

「Yahoo!知恵袋」などの口コミサイトでも同様の疑問が多く見られますが、正確な情報をもとに対応することが重要ですす。

  • 電子契約で署名は不要?
  • 契約書見直しの適切なタイミング
  • 労働基準監督署への提出義務

これらの疑問を解消することで、あなたの不安は大きく減り、自信を持って労務管理を進められるようになります。反対に、あいまいな理解のまま放置してしまうと、後から大きなトラブルに発展する可能性があります。

電子契約で署名は不要?

電子署名法に則った電子契約サービスを利用すれば、手書きの署名や押印は不要です。

電子署名が法的効力を持つため、書面での署名と同等の役割を果たします。


契約書見直しの適切なタイミング

雇用契約書は、以下のタイミングで内容を見直すことが重要です。

  • 法律が改正された時
  • 契約を更新する時
  • 労働者の職務内容や勤務地に変更があった時
  • 賃金や手当に変更があった時

特に、法律改正時は見落としがちなので、厚生労働省のウェブサイトなどを定期的に確認する習慣をつけましょう。


労働基準監督署への提出義務

雇用契約書を労働基準監督署に提出する義務は、原則としてありません。

ただし、労使間でトラブルが発生し、労働基準監督署に相談した場合は、提出を求められることがあります。

そのため、いつでも提出できるように、適切に保管しておくことが重要です。


まとめ|正しいテンプレートでパート採用を成功させよう!

パートタイマーの雇用契約書は、単なる事務手続きではなく、労使双方の権利と義務を明確にし、トラブルを未然に防ぐための重要な書類です。

法的な要件を満たした正しい雛形を活用することで、安心してパート採用を進め、法的リスクゼロ安心経営を実現できます。

  • 無料テンプレートで時間とコストを削減
  • 法定必須事項の記載で監督署指導を回避
  • 同一労働同一賃金&電子契約でトラブル防止

無料テンプレートで時間とコストを削減

この記事で紹介したように、厚生労働省や労働局の公式テンプレートを活用すれば、費用をかけずに法的に問題のない雇用契約書を作成できます。

雛形をダウンロードして必要事項を埋めるだけで、あなたの貴重な時間と労務コストを大幅に削減できます。

法定必須事項の記載で監督署指導を回避

賃金や労働時間、業務内容といった法定必須事項を漏れなく記載することは、労働基準監督署からの指導を回避する上で不可欠です。

曖昧な記載は、後から大きな問題に発展しかねません。

同一労働同一賃金&電子契約でトラブル防止

同一労働同一賃金に対応した公平な待遇を明記し、電子契約を活用することで、労務管理はさらにスムーズになります。

正しい知識とツールを味方につけ、自信を持ってパート採用を進めましょう。

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